日記の看板・冬
当庵主人の日記です。


■KEITH落語ライブ(2001.12.15)

 「☆よせごよみ」でこの落語会の情報を見つけたときにはとっても驚きました。
 会場のKEITHは、職場が近いので何度か行ったことがあるバーで、普段はとってもJAZZYなお店です。名前の通り、キース・ジャレットとかアルメイダとかが流れています。週末にはJAZZの生ライブもやっているとってもとってもお洒落なお店。あそこで何故に落語?大体、いったいどこに高座を組むの?そんなスペースどこにあるの?(このお店は、隅っこに座っていてもカウンターのマスターとおしゃべりができるくらいの広さです)
 気になって仕方がないので、家から近いこともあり、ちかちゃんを誘って行って来ました。
 落語会のスタートは20:00でしたが、ちょっと早めに到着。
 入り口近くのアップライトピアノの隣に、ちゃんと高座を組んであり、緋毛氈ではなく白黒チェックのブランケットがかけてある。カジュアルやなぁ。
 客層はやや若めで、おしゃれな方が多かった。最終的には20人くらい入っていたようですが、それでもお店は満席です。
 出囃子はどうするのかなと思っていたら、持ち込まれたテープは、お店にデッキがなくて使えず、なんとお店にあったジャズのMDで代用。これが結構いい味。

 当日の出演者および演目です。
  笑福亭たまさん「大安売」
  林家染弥さん「刻うどん」
  桂三若さん「ひとり静」

 客層・会場に合わせられたのか、演者さん三人ともマクラもさっぱり軽めでテンポがよかった。
 たまさんの「大安売」力士の名前は玉双津(字は適当)。彦八まつりでのたまさんのシコ名「福笑部屋たま金玉」を思い出して、思わず吹き出してしまいました。会場はこんな感じでした
 会後、演者さんを交えて乾杯。私服だとバーで飲んでいるのがよくお似合いの若い男前三人。飲みながら(ここのお酒はほんとにおいしいんです!)いろいろおしゃべりもできて、ちょっと業界の話も聞いちゃったりなんかしちゃって(!)めちゃくちゃ楽しい時間を過ごしました。
 いつものなにもかも揃った会場での落語会も当然すばらしいのだけれど、空気の違うところで、アレンジ効かせて行われる今日のような会もとても好き。演者さんと交流できるというのもとってもおいしい。それにお酒もとってもおいしくて、幸せ。行って本当に良かったです。

■呼吸(2001.12.14)

 お茶を習い出して、自分に変な癖があることに気がつきました。
 過度に緊張したり、集中したりする時に呼吸が止まっているんです。
 これに気づいた時にはショックでした。そういえば、偉い人としゃべったり難しい仕事したりする時に、頭が痛くなったり、息苦しくなったり、のぼせたりしたなぁ……。原因はこれかぁ!?
 そういえば、昔ピアノを弾いているといつも口の中にツバがこぼれるくらいよく溜まって「私だけ変だなぁ」と思ってましたが、これもひょっとして息をしてなかったから?
 寝ている間に呼吸が止まる「無呼吸症候群」というのは聞いたことがあるけれど、私のこのクセってなんなんだろう。
 おもしろい落語を聴いてる時にも、やっぱり時々呼吸を忘れている時がある。まさに息をつめて聴いてるわけ。(ちょっと違う?)
 思い当たることが一つ。学生時代に体の中に酸素が増え過ぎて苦しくなる「過換気症候群」というのになったので、それを直すために、胸が痛くなったり苦しくなったら呼吸を止めており、それが知らないうちにクセになったのでしょうか?
 せいぜい気をつけて深呼吸するようにしよっと。でも、やりすぎたら、また「過換気症候群」になるのでしょうか。それもイヤだな。

■雀松向上委員会(2001.12.13)

 「雀松向上委員会」、初体験です。
 開演時刻の19:00に職場を出て、太融寺さんに着いた時には、笑福亭たまさんの「手紙無筆」はもう中頃。
 たまさんは「あ"〜あ"〜あ"〜あ"〜」とシャウトしまくり!ええぞええぞ。
 手紙と相手の顔を見比べるおっさんの顔つきがおもしろくて、会場からクスクス笑いが絶えない。おっさんが逆ギレするのを、思わず「来るぞ来るぞ来るぞ〜っ!」とドキドキ身構えてしまいました。あ〜、すっきりした。
 たまさん以後の演目です。
  桂雀松さん「いらち俥」
  桂梅團治さん「馬の田楽」
  桂雀松さん「質屋蔵」

 雀松さんの「いらち俥」いいんですわ。動き方がしなやかで、手の丸みや顔の角度で、登場人物がどういうことをしているのか、どういう立ち位置なのか……そういうのが、ぱーっとリアルに想像できちゃったんです。空間を感じるというか、なんちゅーか、うまく言葉で表現できません。もどかしぃ。とにかくもういっぺん観たい。特に病弱な俥屋さんは秀逸。
 梅團治さんは、マクラもとってもおもしろかった。内容は、いろいろ書きたいんだけれど自粛。
 前に「お玉牛」聴いた時にも感じたのですが、梅團治さんって、変態チックで粘着質なおっちゃんに、道具とか使われて無理矢理いけないことをされてしまったような気分になりますなぁ……(注:あくまでも例えです)。「馬の田楽」はお子様も登場する(このガキらがまた最高なのです)健全なネタやのに、なんでかなぁ、不思議やなぁ。ああ、これ以上書くと、危険な方向に進んでしまいそうなのでやめときます。男性は梅團治さんをどんな気分で聴いているのか、かなり興味津々です。
 「質屋蔵」とても好きなネタです。繻子の帯の因縁話のところと、熊さんがあれこれバラして謝るところが特に好き。ただ未熟な私は、中盤までに力を入れて聴き過ぎて、熊さんと番頭さんが離れの部屋に隠るくらいから「あ〜、好きなところは済んじゃった。もう後はいいや」とダレてしまうことが多いのです。でも今日は全部飽きないで集中して聴きました。サゲの天神様がまたすっごくかわいくて最高。雀松さんってええなぁ。
 会の後、妙齢の女性四人で飲みに行きましたが、落語会の後に熱燗っていいですなぁ、クセになりそう。ええ気分でデタラメな口三味線しながら、ちょっと蛇行しつつ帰宅しました。楽しい夜やったぁ。

■悩んでます(2001.12.11)

 18日の火曜日、吉朝・千朝師の「年末ジャンボ」に行くか、歌々志さんの「歌々志・B面」に行くか。
 今、とても悩んでます。
 心が乱れまくって、ちょっと仕事中にため息ついちゃったりなんかして……。
 マジ、どうしよう。
 夏の「サマージャンボ」に行った時、とっても楽しかったので「絶対、年末も行く!」と心に誓っておりました。最近千朝師を聴く機会がなくて寂しかったし。
 でも、歌々志さんのB面、DMをもらったのですが、かなり心惹かれるんですよねぇ。歌々志さんの裏とか本性……って?「あがき」とはまた違うことをやってくれるみたいだし……。しかもミューラシアという会場、ホームページの写真を見たら、たいそう雰囲気のある私好みな環境。そそられます。ここでどんな噺を聴かせてくれるんやろ。
 でも吉朝師が「上方お笑い大賞」を取った直後だし、「年末ジャンボ」盛り上がるんやろうなぁ。
 でも、そっちに人が動いて「B面」人が少ないとしたら、かえって美味しいかも……。

 でも早く決めなきゃ!早く決めなきゃ、また「二つ行きたい会がある日は、どちらにも行けない」というジンクスに捕まってしまう……。

 うーん。でも……。

■毎月九日は九雀の日(2001.12.9)

 12月に入ってからというもの、枝雀一門漬けな日々を過ごしています。ちょっと振り返ると、

  12月2日(日)上方亭ライブで紅雀さん
  12月4日(火)NHK上方演芸ホール「枝雀一門会」雀喜さん・文我さん・雀三郎さん・
          雀々さん・南光さん
  12月5日(水)落語本舗こごろう堂でこごろうさん
  12月8日(土)「たまのフレンドリー寄席」でまたこごろうさん。

 ちょっと行き過ぎ?でも、行けないことも多いんだし、これくらい……ねぇ?
 で、私の「枝雀一門強化週間」を締めくくるのが今日の「毎月九日は九雀の日」でございました。
 会場は我が地元豊中は岡町、伝統芸能館。父と家の前からバスに乗ってウキウキ出発。

 今日は舞台の上に直接お座布団を敷くという設え。おザブの前のマイクには「OBC」の文字。今日の録音を九雀さんのラジオ番組で使うということで、これはますます力の入った高座が期待できるかも?!と、こちらのテンションも高くなります。

     で、当日の演目。
  林家染左さん「阿弥陀池」
  桂九雀さん「ぞろぞろ」
  旭堂南海さん「忠臣蔵外伝・忠僕元助」
   中入
  桂九雀さん「宿屋仇」

 染左さんは言葉の乱れがなく、ととんとんとんとーん!と聴かせてくれて気持がよかった。
 九雀さんのマクラは、最近遭遇した災難のことを「お稲荷さんの御利益」とひっかけて。「稲荷というからには、ぞろぞろ?」とは思ったけれど、なんだか様子が違う。床屋さんは出てくるのだけれど……。んん?
 私「ぞろぞろ」は談志師匠(CD)とこごろうさん(生)でしか聴いたことがないけれど、でもあれはきっと「九雀さんバージョンぞろぞろ」なんだと思う。目も頭もキラキラさせて「こんなんどうです?おもろいでしょう!」という感じですっごく楽しそう。私も楽しかった。

 で、南海さんの「忠臣蔵外伝・忠僕元助」!
 生の講談は初体験でしたが、こんなに面白いものとは……!そっか、よう考えたらテレビドラマの忠臣蔵って、講談と歌舞伎が源だもんねぇ。私、子供の頃から時代劇好きで、忠臣蔵を放送しようもんなら、テレビにかじりついて見ていたんです。私、講談と相性いい体かもしれない!?
 南海さんは明るくほのぼのと演じてはるのに、最後には涙が出てしまった。父には「アホか」と言われたけれど、私の後ろに座っていたきれいな女性も目を赤くしていた。感受性が豊かなのよ、わかんない親父ね、もう!
 トリの「宿屋仇」こちらは重々しく正当派に。万事世話九郎(字、これでいいのかな?)が、すごく遊び心のあるかわいいお人に感じられました。伊八に「おまえじゃな、鶏の尻から血を吸うのは!」のくだり、私には不自然に思えるところなんですが、この日は「ちょっと親父ギャクを言ってみたのね、かわいいおっちゃんや」と思えて、頭にすーっと入って来ました。「きっとこのお侍様って、品行方正で文武両道に優れた強面のおっちゃんなんやけど、きっと子供に竹トンボなんか作ってあげたりするタイプなんやわ」な〜んて、勝手に想像して楽しんでました。あ〜おもしろかった!
 芸達者揃いの落語会に父親は大満足で、帰りはタクシーおごってくれました。
 さ、お次は「雀松向上委員会」かな?あら、まだまだ「枝雀一門強化週間」は続く!?

■たまの「フレンドリ−寄席」(2001.12.8)

 天王寺は茶臼山舞台まで笑福亭たまさんの「フレンドリ−寄席」に行って参りました。
 笑福亭たまさんを初めて聴いた時は、正直な話「声がでかすぎー!頭痛いよー」と思ったものですが、何度か体験するうちに、脳みそに突き刺さるシャウトがクセになってしまいました。しばらく聴かないと恋しくなる不思議な噺家さんです。
 たまさんはラジオで九雀さんに「君はあまりにお客さんに挑戦的すぎる。お客さんと友達にならないかん!」と言われたそうです。確かに、落語会で手伝いをしている姿をちょくちょくお見かけしますが、いつもめっちゃ怖い顔。背中に「俺に近づくな」的なオーラを背負ってて、ビビります。
 で、お客さまと仲良くなるための試みに、本日の落語会には「ふれあいタイム」というものが設けられておりました。入り口でアンケートを渡されて「笑福亭たまに聞きたいこと、やってほしいことを書いて下さい。」「今日のお客さまに聞きたいことを書いて下さい」「最近あったムカつくことを書いて下さい(昔のことでも可)」という3つの設問。で、後程お客さんから回収したこのアンケートにたまさんが答えて、読まれた人には記念品贈呈という趣向でございました。
 私、脳みそに瞬発力がないので、いきなりこういうの書くの、とても苦手です。落語会のアンケートもいつも慌ててしまって、わけのわからんことを走り書きするのが精一杯やのに、とっても困ります。
 他のお客さんも似たような気持ちだったのか、中入の間シーンと水を打ったように真面目にアンケートを書いていらっしゃる。中入って、休憩でしょ?それなのにまるで試験受けている気分なんですもん。たまさんって「つまらんこと書いたら承知せーへんど」的な威圧感があるので、これはええかげんなことできんわー。お遊びやねんから、もっと楽しんでやったらいいんだけれど、たまさんのキャラがそうさせてくれないんです、全然フレンドリーじゃないやん。
 あんまり思い付かないので「リラックスしたくて落語聞きに来ているのに、頭使うのは苦痛やから、こんなんはもうやめて〜」みたいなことを書いて出しました。悩んだ時間が長過ぎて、一人だけ出すの遅れて恥!しかも、それを一番に読まれて(提出してすぐ読みはるねんもん、誰が書いたのかわかるじゃないですか!恥ずかしい!!)

 でも、恥もかいたけど、読んでもらったおかげで記念品ももらえたし……、よかったのかな?
 しかし、あの記念品どうしたらいいんやろう?たまさんが昔ファンやったホリプロのアイドルの生写真、女の私が持っててもオカズにもできへんやん。ちょっと途方に暮れておりますが‥‥。将来たまさんが名人になった時に、あちこちで「こんなんもらいましてん」と見せびらかしたらウケそうやし、大事にしまっておこう。しまった、「さやか賛江」って一筆もらっとけばよかった!

 演目は次の通り。
  笑福亭たまさん「米揚げ笊」強圧的なアホがよかった。テンポもとっても気持ちいい。
  笑福亭喬若さん「二人ぐせ」喬若さん初体験。なるほど西武の松坂によく似てはります。
          客席の反応を確かめながら噺を進める感じが、余裕があって好き。
  笑福亭たまさん「三人旅」迫力満点。十分堪能。
  桂こごろうさん「水屋の富」初めて聴くネタ。
          後でこごろうさんは、えらいあやまってはりましたが、
          私には水屋のおっさんがいろいろ悩む姿がおもしろかった。
   中入
  ふれあいタイム
  笑福亭たまさん「子は鎹」

 たまさんいわく「子は鎹」の人情の部分を削って、トレンディ−ドラマ仕立てにしたとこのことでした。親父は確かに男前風だったので、キムタクっぽかったと言えんこともない。でもなぁ「月9」というよりはお昼にやってる「花王愛の劇場」チック。お洒落とは……いいにくい。
 でも、たまさんって、前は迫力にばっかり気を取られていましたが、言葉がしっかり聞き取りやすいし、思っていたよりも色んな人物を演じわけられる人やったんやなぁ、と思いました。師匠と同じでカミシモの振りがないから、前はどこでキャラクターが入れ替わったのかわからん時もあったけど、今日はそんなことなかった。見るたびに何かが変わってるので、若い噺家さんを聞きに行くのは面白いと思う。リスクも大きいけれど。
 物真似あり、暴露話ありでとても盛り沢山な楽しい会でした。笑福亭たまさんは、このままいつまでも心臓に悪い刺激的な噺家さんであり続けてほしいと思います。

 で、続けて12/9には久し振りに父と「九雀の日」へ参ります。坊主頭九雀さんの落語は初めて。何をやりはるのかな?  

■お稽古にて(2001.12.6)

 実はガラにもなくお茶を習っています。
 3年前に親の友人がお教室を開いた時、あまりにも人が集まらなかったので、サクラとして駆り出されたのがご縁で、そのまま居ついてしまったのです。今では生徒は私一人……。なぜ?

 というわけで木曜の夜だけは大和撫子やってます。まだ「なんちゃって」の域を出られないのがつらいところですが……。

 この日も、いつものように神妙な顔でお手前をしていると、つい前日に聞いたこごろうさんの「茶の湯」の茶碗回すところを思い出してしまいました。
 聴いたことのある方はおわかりでしょうが、あのアクションはもうすごいんですわ。あんなん思い出したら、小刻みに手が震えてしまって、熱湯入りの柄杓をひっくり返しそうになるわ、お抹茶をまき散らしそうになるわ……。ついつい先生に「実は昨日こんな落語を……」とお話したら、これが想像以上にウケてしまって、その後はお稽古どころではなくなってしまいました。
 あげくに「今度そのネタかける時には教えてね〜」と言われてしまった。こごろうさん、次はいつ「茶の湯」やりはるんやろうなぁ……。

■落語本舗こごろう堂(2001.12.5)

 二日続けて落語会。でも行ってきました「落語本舗こごろう堂」お目当ては「茶の湯」!
 前日のしわ寄せで、奮闘も空しく仕事が終わった時にはすでに開演時刻を過ぎていました。疲れていたし「茶の湯」でなかったら行かなかったかも?
 で、使ってしまいました禁断のタクシー。三国の駅まで行って、阪急宝塚線で3駅。岡町はもう一駅なのに、曽根で通過を待つ時間がどれほど長く感じたことか!
 いらいらしながら到着したけれど、落語工房さんの受付の方は、相変わらず美人で対応も優しくて、機嫌は一気に直りました。遅れて来た私のために、わざわざドアまで開けてくれはった。こういうお心遣い、身にしみてうれしい。
 入るとこごろうさんの「おごろもち盗人」、サゲだけ聴いたけれど、あの様子なら帳面合わせするところとか、穴を掘るところとか、さぞかしおもしろかったやろうなぁ。口惜しい!
 米平さんは「ぬけ雀」。言葉が聞き取りやすいし、しゃべるリズムもとても好き。
 で、お待ちかねこごろうさん「茶の湯」!最初からちゃんと聴くのは初めて。とってもおもしろーい!あのおもしろさ、ちょっと口では言い表せない!最初から最後まで全部見どころ!さすがこの間「ワイワイじゃーなる」で「茶の湯といえばこごろう」と自分で言っていらしただけはある!ええわぁ。
 と、いうわけで二日続けて贅沢な夜でした。何が贅沢って、帰りもタクシー使ったから、入場料より足代の方が高くついてしまった。でも昨日がタダやったし……まぁ、よしとしよっかな。

今日の日記はちょっと長いよ(2001.12.4)

 NHKの枝雀一門会当日。まだかまだかとジリジリ待っていたこの日が、ついに来たのでございます。
 前日からテンションが異常に高くてなかなか寝付かれなかった私。まるでお子様です、アホやなぁ。
 やっぱり「枝雀一門」という言葉には特別な響きがあります。ただの「すごい出演者の落語会」というのとは、なんか違う。なんで違う?
 そういえば、尼崎での枝雀一門会(台風直撃)の日も、夏休みをその日に合わせて取ったんだっけ。「生きている枝雀」に会えなかった落語ファンの悲しさで「枝雀一門会」なら少しでも師匠の残り香と言うか、気配というか、なにかに触れることができるんじゃないか……。もちろん枝雀一門の方々はみなさん個別に好きな人ばっかりなんですけど。こういう思い入れの仕方って、演者さんに失礼やろうか?

 ところで、最近休みが不定期で疲れていたこともあり、私は公式には「風邪をひいて発熱」しました。ごほごほ。
 で、非公式の私は4時にはニコニコ笑ってNHKの前に並んでいました。先に来て並んでくれていたちかちゃんに合流し、楽しくしゃべっていたら、向こうの方を見たことのある人が歩いていらっしゃるじゃありませんか!あの太く凛々しい眉毛は……。

 「やーん!!雀喜さんやー、雀喜さーん、頑張って下さーい!!」
 (手はメガフォン、声やや大)

 雀喜さんは、テンション高すぎのアホなおなごにもちゃんと愛想して、笑って頭を下げてくださいました。ええお人や。しかしいつもの私なら、受付に噺家さんがいるだけで緊張してしまうのに、こういう行為に及んでしまうあたり、やっぱり普通じゃなかったんだ。雀喜さんには失礼なことをしてしまいました。反省。
 でも、テンション高かったのはちかちゃんも一緒です。引き換えた座席券が、一体どの辺りなのか気になって仕方がない。二人してモジモジモジモジ……。5時30分の開場と同時に鼻息荒くして座席探し!それがまぁ、前から7列目のほぼど真ん中!想像以上によい席で、ほくほく喜んでプログラム見たり、開演まできゃーきゃーわーわーやっておりました。

 さて、当日の演者・演目です。
  雀喜さん「つる」
  文我さん「豊竹屋」
  雀三郎さん「宿替え」
   中入
  ゲストコーナー(九雀さんと坂庭省悟さんのおしゃべりと唄)
  雀々さん「八五郎坊主」
  南光さん「不動坊」

 会の様子はテレビで放映されるそうなので、それを楽しみにされている方の為にちょっと控えておきますね。でも、そのうち見聞録に自慢しながら描いてしまうような気も……。
 で、本日の特記事項!
 この会で私はついに悲願の「桂文我さん初体験!」きゃーぱちぱち!ついに「枝雀一門全員聴く」という年間目標を達成しました!
 文我さんの印象は、以前テレビで拝見したより、ずっと若い方だったのでまず驚きました。明るく上品で軽やか、物腰優しくほのぼのしてるんだけど、時折しゅっと男っぽかったりもして。あぁ好きだぁ!出て来ただけで、そこらへんがぱーっと明るくなったように見えるのは、枝雀師匠のお弟子さん方みなさん同じですね。師匠もそうやったんかなぁ……。
 「豊竹屋」も初めて聴きましたが、すっごくすっごくおもしろい!どうしてもっと頻繁に演じられないのか?と不思議に思うくらいのおもしろさなんです。きっと難しいんだろうなぁ。聴き終わったあとで「このネタ、今すぐもう一度聴きたい!」と思ってしまいました。伊藤さんが「初めて聴いた」とおっしゃるくらいだから、きっと珍しいネタなのでしょうが、また聴きたい‥‥。私の「お気に入り噺家さん」がまた増えたのでございました。
 雀喜さんはきちんと折り目正しく、好青年風。大きい舞台で見るのは初めてですが、なかなか負けてないぞ。男前やしね。
 雀三郎さんはNHKもなんのその、私が好きなちょいエッチなところも大爆発でかましてくれて、うふふふふ!相変わらず女性が色っぽくて好きです。
 ゲストコーナーでは九雀さんのさすがの話術に感心。坊主頭も拝めたし(思っていたよりも自然で、よう似合ってはりました)師匠の思い出話にほろり。歌にもほろり。
 雀々さんは動き方もお顔の表情もやっぱり大好き!お住持様がなんともいい味出てました。
 南光さん、時間が押していてマクラなしがなんとも残念!やもめ達の職業、今まではなんのことやらわからず聞いていましたが、そこにさらっと説明入れてくれたりして、無知な身にはうれしかったです。それに利吉が風呂屋で妄想の中で、いきなりお滝さんを呼び捨てにして怒り出すところ、「このおっさん、何でいきなりキレるんやろ、なんか変」と思っていたのですが、南光さんはそこのところ実に自然でした。目の前に自然に情景が浮かんでくるようで、この「不動坊」私とってもお気に入りです。
 書くことは尽きませんが、そろそろこの辺でやめておこ。本当に幸せな一日でした。NHKさん、そしてハガキを当ててくれたお兄ちゃん、感謝です。この御恩は忘れません。

■明日は……(2001.12.3)

 NHKの枝雀一門会をいよいよ明日に控えて、ちょっとドキドキしています。
 もちろん、超豪華メンバー揃い踏み!しかも九雀さんの坊主頭初お目見えという楽しみのドキドキなのだけど。
 それだけじゃないの……。明日、仕事早退できるかどうか?それが問題なのです。
 いっそ、K病を使って一日休むか……、それとも出勤して職場で気分が悪くなったことにして半日休みにしてもらうか……。うーむ。
 弁解するわけじゃありませんが、就職してからズル休みしたことは一度もありません。病欠も、転職一年目に二度休んだだけ。何しろさの字は健康なだけが取り柄なのです。

 でも、でも、明日だけは走って行きたくないの!
 余裕を持って、落ち着いた呼吸で最初からしっかり聴きたいの!
 だって、せっかく当ったんだし!
 さぁ、どうなることやら。ひさびさに明日はここでは書けない話になりそうな予感。隠し部屋を掃除しておかなきゃ……。

■上方亭ライブ(2001.12.2)

 上方亭ライブに紅雀さんが出るというので、一人で出かけました。ちかちゃんと友人Yを誘ったけれど、二人とも仕事。ちょっとさびしい。
 実は上方亭ライブは初めて。広さといい舞台の感じといい、好み!これでお囃子が生やったらなお良かったのにね。

 紅雀さん「いらち俥」
 私は夏から聞いていなかったのでうれしいネタ。開口一番だけど紅雀さんは羽織着用やった。得意ネタなのでハズすはずもなし。市電と競い合うところで「丁度出会うか……」と車夫がニヤリと笑う顔が狂ってていいなぁ。いつも途中で終わるので、一度能勢まで行くところまでじっくり聞いてみたい。

 五街道喜助さん「真田小僧」
 上方亭に東京落語の方が出られるのは初めてということ。
 按摩さんとおっかさんとのからみを、もっとねちっこくやってほしかったけれど、今日はお昼間だったためか、最前列にお子様がいたためか、さらりと終わってしまって「ちっ」!でも、真田三代記のところまできちんと聴くのは初めてだったのでうれしい。東京言葉は気持ちがいいなぁ、と思う。

 米平さん「天狗裁き」
 「今日は出てくるたびに噺家のサイズがだんだん大きくなってます」にウケてしまった。これもとっても好きなネタ。特に、ヒスるおかみさんと、天狗さんが好きやった。
 告白します。高校生の時にめちゃくちゃ太ったチカンにあって以来、体の大きい人は怖いんです。別にスカートの中に手をつっこまれたとか、お尻を撫でられたとかじゃなくて、その人ったら、ニヤニヤ笑いながら私にお腹をすりよせてきやがった。ゴムまりみたいな感触に耐えられなくて、混んだ車内中逃げ回ったけれど、逃げても逃げても追っかけてきて、ひたすらお腹つきだして、ぐふぐふっと笑ってるんです。純で小心者やった当時のさの字ちゃんには「なにサラすねんデブ!キショいんじゃ、死ねボケ!」と追っ払う根性がなかった。(今やったら、ちあき姐さんや伊藤姐さんから、色々と罵詈雑言を教わってるんで、撃退できると思うんだけどな〜。)
 そういう意味では米平さん、受け入れられないはずなんだけど……。かわいいんですよねぇ、あの笑顔が。噺も、はっきりとわかりやすい語り口とか、ほどよくゆったりしてるリズムとか、大好きです。米平さん、こごろう堂で5日にまた会えることを祈ってます!

 久々にゆっくり休めてホットカーペットもコートも出したし、さらにはコート一枚買い足したし、これで寒がりな私も冬を迎えることができそうです。さあ、あとは雪がどんどん降って、1月頃にはスノボに行きたいなぁ。

■ちょっとほろり(2001.12.1)

 仕事がバタついてこの週はほとんど日記を更新できなかった、反省。仕事一色で頭がワいてましたが、そんな中でもぽつぽつと気持ちが揺れることもあり。

 木曜日、疲れて帰宅した自宅にて
 私が落語ファンと知っている父の知り合いが、「私の履歴書」の「追悼枝雀」をわざわざファックスで送ってくれた。(ありがたい!)米朝師匠の文章が軽妙で、うるうるしながらも笑い、笑いながらもまた泣き。
 そういうテンションで枝雀師匠の「親子酒・八五郎坊主」のテープをまた聞いた。
 解説が無いので何年の収録かはわからないけれど、声が若い。これはとても好きな録音。また泣き笑い。
 それをもらいものの「御座候」を食べながら聞いていた私。
千朝さんが「饅頭こわい」のみっつぁんが饅頭食べるところで「御座候……並んだんやろうな……」と言っていらしたこと、先日の雀々さんの「代書」の「巴焼き」のところを思い出して一人ウケ。こういうことでリフレッシュできる私って、お手軽。落語ファンで良かったなぁ、と思う。

 金曜日、職場にて
 てっきり土曜日も出勤になるかと思いきや、上司がなんとかやりくりしてくれて、残業はあったものの二連休にしてくれた。嬉しくて涙。

 8時、残業終了後
 次の日が友達の結婚式だったので、買い忘れたものを買いに閉店間際の阪急へ走る。今は9時まで開いてるのね、がんばってるなぁ。でも、買う予定の無かった服まで衝動買いし、肝心ののし袋を買い忘れる。アホや。 結局コンビニで買って済ませる。開いてて良かった。

 土曜日、3時半から友人の結婚式で京都へ。
 阪急高槻市のホームで友達Yと待ち合わせるが、家に携帯を忘れてあわてて取りに帰り、約束の時間に遅刻するかと思ってYにメールをしたけれど、走ったお陰で間に合った。でも、Yが遅刻して15分待たされる。走り損やった、ムカ。

 披露宴会場にて
 新郎は大学時代の友人。お父様が愛知県でお寺を経営していらっしゃる。だから、この日はお坊様の正装で、ちょっとびっくり。伯母様が詩吟を披露し、新郎側の親戚ノリノリ。うーん、いいなあこういう感じ。
 二次会が終わって帰宅途中、久しぶりに会った友達が東京落語ファンであったことが発覚。この間私が行った談志師匠の独演会にも来ていたらしい。嬉しい驚き
 卒業後、関東に帰ったけれど、姫路にお嫁に来た彼女には播州言葉がきついらしい。時々意味がわからず聞き返すと「これだから」という顔をされるというけれど、気にせんでもええで、大阪モンにも播州言葉はこわいねんからな。
 これからはちょくちょく会える。また上方落語も聞きに行こうと約束した。こういうことって、あまりないから、とても幸せ。

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