日記の看板・冬
当庵主人の日記です。
■第103回上方落語をきく会〜桂文枝をきく会〜(2003.2.25.tue)

 ABCの公録に連れて行ってもらいました。私の落語通いのペースがガタンと落ちているのを哀れんでくださったのかしらん。一席目のつく枝さんには間に合いませんでしたが(「浮世根問」だったそうです)それでも、うれしい。

 続く文太さんの印度人マクラでこっそり会場に忍び込み、「八五郎出世」は一番後ろで立ち見。久々に遠慮なく声を出して笑って、2週間分の憂さが一気に吹っ飛ぶ。常識人の顔して、キテレツなのがたまらなく好き。

 文枝師匠で「景清」と「崇徳院」、粋でチャーミングでただただウットリ。二席の間、完全に恋に落ちてました。目を閉じればまたあのお姿、あの声が……(←思い出し中)見れば見るほど、考えれば考えるほど思慕の情がわき上がってきます。いいなぁ、文枝師匠……。

 今日は他に江戸家まねき猫さんの動物ものまねもありました。前に文我さんの独演会で聴いたのとまた違うバリエーション。ストーリーがあるのがおもしろかった。

 古い話ですが、ウィングマンってアニメがあったのをご存じでしょうか。戦闘シーンになると画面の天地がひっくり返り、主人公と悪党以外の人々は時間が止まっちゃうんです。落語会の会場に足を踏み込んだ瞬間って、私に取っては感覚的にこれと近いです。数分前まで浮世の人ごみかきわけながら走っていたのに、扉一枚でめっちゃ遠い世界に行けてしまうんだから、寄席通いはやめられないねぇ……。というわけで、今日も幸せな一日でした。

■死語じゃないのよ!!(2003.2.23.sun)

 食べ物があわないし、今の仕事をやめて大阪に帰ろうかという関東在住の知人が、
「どうせ会社やめるんだったら、資格取って独立開業したいなぁと思ってる。司法書士とか税理士は難しいから、代書なんかどうかと思ってるんだけど」

 え??今あなたなんとおっしゃいましたぁ?代書?!
「代書屋だってば。行政書士。合格率意外に高いんやで」

 この人、落語ファンやないんです。で、私が落語ファンということも知りません。
「ええ?言わへん?たとえば免許の書き換えとかでややこしい書類書くの代行してくれんのよ。職場で『代書頼め』とか、普通に使うよ?」

 普通に使うの?そうなの?なんかうれしい。

 今日は、これだけで一日ご機嫌さんでした。ある一部の人にしか通じない専門用語だと思っていた言葉が、世間に立派に流通するっちゅーのが、こんなにうれしいなんて……。喜びって、意外なところに転がってるもんです。シミジミ。

■ビタミン寄席(2003.2.22.sat)

 今日は記念日。だって千朝さんの誕生日ですもの。今どこにいてはるのかは知らないけれど、頬を染めながら「おめでとうございます♪」なんて、鉛色の空につぶやいてみた今日の私は、土曜日ですがお仕事でした。

 仕事の後、冷たい雨の中をダッシュ。目指す先は京都、竹田は気楽堂「ビタミン寄席」。早足で開演直前の会場に滑り込みセーフ。

 米吉さん「阿弥陀池」
 雀喜さん「軽業」
 歌々志さん「馬の田楽」
  中入
 紅雀さん「風邪うどん」
 都んぼさん「坊主茶屋」

 今日はまた力を入れて「千朝さん萌え〜♪」なアタシですが、若いええ男見ると激しくトキメくんです。
 だから米吉さんのマイペースなマクラ聞いたり、雀喜さんの「おっと危ない」見たら、だらしなく微笑むし、歌々志さんのほがらかーな梅やらはん見ると身をよじっちゃうし、紅雀さんの「どこまで唇ゆがんでんねん!」という酔っぱらい見ると自然にうっとり目が垂れるし、都んぼさんの力んだ眉間見たら「セクシー♪」と思ってしまうんです。いやさ、落語の内容もよかったんですが、プラスアルファの快楽。この会はベッピンさんのお客さんも多いし、目の満足度極めて高し。幸せ幸せ。

 その上、気楽堂名物の抽選会に、大好きなあの人が特別出演!もうなにも当らなくってもいいっ!!と、ちかちゃんと手に手をとってつぶやきながらも、抽選券を握る手に汗がじっとり。結果は………

笑顔でも カバンは軽い 帰り道。

 ふぅ、スレもせえへん。でも、思わぬところで「高津の富」のサワリをちょろっとでも聴けたからね。お土産十分もらえたよ。よかったねぇ……。

 さて、ご存じでした?京都駅へ戻るのに、地下鉄よりも近鉄の方が30円安いんです。二人して秘かな「得しちゃった感」に微笑みながら帰宅。抽選会のかけあいがあんまり楽しかったので、こごろうさんと都んぼさん、漫才つきで二人会やってくれへんかなぁ……などと話していると大阪までの道もあっという間でした。

 駅から家に至る道で、水たまりに豪快に足をつっこんでも、今日はいい日。

■JR西日本エライ!!(2003.2.16.sun)

 週末の落語会を振り切って、滋賀の山奥でスノーボードやってきました。

 旅の道連れ3人衆、レベルもコースの嗜好も違うので、現地ではほとんど別活動。3人揃ってB型で、会話も行動もまとまらんまとまらん。人間を4種類に分類しちゃうなんて乱暴だとは思うけれど、同じ星座の人には抱かない同類意識ってものが、B型の人との間にはあるような気がする。

 下手の横好きで頻繁に雪山通いをしていたのに、このところイタチの道だったのは、まとまらない私らB型人間の群れを束ねてくれていた、清八のような某友人が、遠くに行ってしまったからに違いない。しかも清やんがいつも車を出してくれてたからねぇ……。

 雪山への思い絶ち難く、車がムリなら電車でと、安いJRのプランを利用することになりまして、ちょうどPCが潰れてしまった幹事のかわりに、JR西日本のホームページを見たところ……「落語家と行く“なにわ探検クルーズ”個人プラン(ほな乗ってみよかキャンペーン)」という文字が目に飛び込んで来ました!!何これー!!

 詳しくはここで見ていただくとして……アタシこれかなり行きたいです。案内してくださる落語家さんて誰なんやろう。こんなん去年もやってたのかなぁ。もし行かれた方がいたら、どんなんやったか教えて下さい。

 で、で、UさんCちゃん、一緒にどやさ?

■べにこご vol.8(2003.2.11.tue)

 第2火曜日なのでいつものように「べにこご」。ひとつ違うのは、お昼間の開催ということ。

 紅雀さん「いらち俥」
  マッド俥屋、今日は格別の狂いっぷり。あのイっちゃってる目つきが好き。

  こごろうさん「不動坊」
  「おたきさーん」の絶叫がイイ!!あんな風に望まれて嫁に行けるなら、幸せやろうなぁ。トクさんシンさんユウさんの3バカの大人気皆無のやり取りも最高です。巻き戻してでももう一回見たいけれど、もう春がくるから、今年はもう聴けないかもねぇ。眼福でした。

 紅雀さん「隣の桜」
  紅雀さんの持ちネタの中で、これが一番好きです。「べにこご」で聴くのが夢でした(感無量)。一番前の席に行きたかった、スタッフだけどさ。

 楽屋着トーク

 20時過ぎに帰宅し、すぐに意識がなくなる。23時くらいに一度起きて、晩ご飯作って食べて、お風呂入ってまたすぐ就寝。今日の眠りは上質やった。

 来て下さったお客様は41名。天人さんの2階席まで使っての大盛況ぶり。今回来てないお客さんには、いったいどこに2階席があるか、きっとわっかんないだろうなぁ……。

 本当に、無邪気に遊ばせてもらってます。終わった直後は興奮しすぎたのか頭が真っ白で、体が幸福感でぬくぬく包まれてて気持ちよかった。今は、また違う喜びがジワジワ湧いているところ。あくまでもぼちぼちと、できる範囲でお手伝いしよう。ずぼらでムリはできない体質だし、この会には、気合いとか気負いとかはあんまり似合わないように思うので……。

■○○出丸の会(2003.2.5.wed)

 すぐに職場を出れば出丸さんの会に間に合うので、いそいそ帰り支度をしていると携帯が鳴った。父です。

  父「おまえが手伝いしてる落語会(注1)の会場って、中崎町やったなぁ」
  私「うん」
  父「中崎町、燃えてるで」
  私「え"え"ぇ-ー!?」

 私の絶叫にタマゲタように通信はそこで途切れてしまいました。携帯握ったまま呆然としていると、いっつも素知らぬ顔で、人の会話をよーく聞いてるうちのお店の旦さんが、こちらに背中を向けたまま、ぽつりとつぶやいた。
「うん。中崎町ならほんまに燃えてるで。ほら」
振り返ればテレビの画面はマッカイケ。気が遠くなりながら天人(注2)のコンシェルジュ(注3)に電話すると、話し中。何回目かにようやくつながり、冷静な声で天人の無事、火元の正確な位置、鎮火に向っていることなどなど、テキパキと説明してもらった。
「火の粉は飛んでくるんですよ。でも大丈夫です。」
的確な現状説明は、きっと問合せがたくさんあったからだと思う。いろんな人たちが愛してる場所だからね。おかげで真っ白になっていた頭に色が少しずつ戻り始めたけど、見かけに似合わぬデリケートでかわいい心臓を持っているので、一度跳ね上がるとなかなか鎮まってくれないのです。エズきそうなほどドキドキしながら、梅田へ。泉の広場を上がるとキナ臭くて、また「ゾーっ」がぶり返す。

 東梅田教会に着くと、ひろばさんのマクラが終わったところ。でも、不安な気持ちで落語を聞くよりも、ちゃんと安心してからの方が楽しめるし、仕方ないよね。

今日聞いた落語
 ひろばさん「狸の賽」
  ルックス的に子狸が激ハマリで、思わず微笑みが……。

 出丸さん「子ほめ」
  潔いブッタ切りショートバージョン。出丸さんが演じるアホって、時にすげぇ無神経で乱暴者。あんな「モミジ」って……のけぞるわ。でも、憎めなくてかわいくて大好き。出丸さんて、見た目はスマートで柔和なんだけど、やっぱりざこば師匠の弟子なんやなーと思う。いえ、ざこば一門の芸風が無神経で乱暴者と言ってるのと違いますので、その辺はご理解を……。

 米吉さん「ふぐ鍋」
  そういえば、米吉さんを見るの久し振り。ギックリ腰を患いはったらしいけれど、ネタの途中で激しく身をよじりまくってらしたので、順調に回復しているみたい。
  そうそうそういえば、けっこう落語会に通っていて、今日はじめて噺家さんにイジられた。(←いわゆる客イジリというやつです)気の効いたこといえなくて、ゴメンなさい。

 出丸さん「替わり目」
  実生活で研鑽(!?)を積んでいらっしゃるだけあって、どこから見ても立派な酔っ払い。

 出丸さんの「替わり目」を聞いた時点で、疑似酔っぱらいになっているのに、それからさらにいただいたものだから、普段と変わらぬ酒量なのにひどい酔い方をしてしまいました。教訓、「替わり目」とか「猫の災難」とか、「親子酒」とか聴いたあとには、お酒は控え目にしよう……。


 (注1)「べにこご〜こごろうと紅雀の落語会」のこと。毎月第2火曜日開催。チラシ作ったり受付したりさせてもらってます。
 (注2)SALON de AManTo(サロン ド アマント) 築100年ほどの民家を再生したカフェ。くわしくはリンクページからホームページをご覧ください。
 (注3)天人のことはなんでも聞いて♪のひろちゃん。FM天人のDJも兼任している超べっぴんさんです。

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