日記の看板・冬
当庵主人の日記です。
■コンビニにて(2003.1.20.mon)

 仕事の合間にコンビニでお買い物をしていると、隣のレジでおじさんが「領収書おくれ」と言った。

 店員さん「えー、宛名はいかがいたしましょう?」
 おっちゃん「上様でえぇよ、上様で、あ、殿様とちゃうで、ガハハハハ」

 ……仕事に戻って思い出し笑いしてしまった、こんな自分が嫌いです。

■文楽新春公演(2003.1.19.sun)

 日本橋の国立文楽劇場へ。
 文楽劇場の中はまだまだお正月仕様で、着物のお客さんも多い。すでに正月気分なんてぶっとんでいるけれど、なーんだ、まだまだ浮かれていてもいいんやんか、早く夢から覚めて損をした、という気分。とにかくこの四時間ばかりは、ゆったりと過ごそう。

 私は人よりずいぶん怠け者で、長時間の緊張状態に神経がよう耐えないんです。だから実社会で頑張るためには定期的に短時間の現実逃避を繰り返さないことには、安定した生活を送れないんです。精神を平行に保つために駆り立てられるように落語通いをしているわけで、文楽に惹かれるのも根っこは同じ。美しくて愛らしくておもしろくて、そして女々しっくて、ドキドキもできる。文楽って、人の弱さを肯定してくれてる感じがとっても気持ちいい。あ〜幸せ……。

 「花競四季寿(はなくらべしきのことぶき)」
  万才・海女・関寺小町・鷺娘
床からあぶれるほど、太夫・三味線、大御所から若手まで大勢が出演。義太夫って、みんなで声を合わせるところでも、結構めいめい好きなように語ってはる感じ。なんかおもしろい。

 「ひばり山姫捨松(ひばりやまひめすてのまつ)」   中将姫雪責の段
まだまだ文楽経験の浅いながらも、様々な美人ヒロインと出会ったけれど、この中将姫が一番キレイなんじゃないかと思う。ちょっとえぇ子すぎるきらいはあるけど、タイプです。このお姫さま、雪の中で着物を剥がれて(といっても裸やないよ?)割り竹でビシビシしばかれるんです。寒さと痛みで死にそうになってるその姿を、継母は火鉢で手をあぶりながら平然と見てるんですワ。憎たらしいですねぇ。「必殺仕事人」によくこういうシーンがあったのを思い出してしまいました。美人の奥女中が責め殺されるのを、年増の上臈が冷たく見てるちゅー絵ね。義太夫のことはまだよくわからないけど、この段語りはった太夫さん、なんかすっごいメロメロで、琴線をかき鳴らされまくってしまいました。「必殺」やったらここでヒロインはホンマに死んで、親とか恋人が全財産はたいて仕事を頼むって段取りになるんやけど、これは嘘死にでよかったよかった。でも、あんなに別嬪やのに、誰とも結婚せずに尼さんになりはるんやねぇ……。もったいないわぁ……。

 「夕霧・伊左衛門 曲輪文章」
  吉田屋の段
 私の友人(男)によると「男は自分によってくる女が金目当てであっても全然OK。だって、金も自分の魅力の一部だと認め、誇りを持っているから。でも、金のある女性は、金目当てで男によってこられても、あまりうれしくないらしい。やっぱり男女って別の生き物やと思う」
 ……そういうもんなんですか?だったらこれに出て来た伊左衛門の場合ってどうなんでしょう。そうとうのお大尽だったんらしいんだけど、破産して姿を消しちゃって、それでも別嬪の傾城は彼をずっと愛してて、みすぼらしい姿で会いに来ても、お構いなしに愛情を表現してくれるのよ。それであんなにスネまくるなんて、ちょっとボンボン、大人気なくない?……でもまぁ、借金まみれになっても女に貢がせたり、心中を迫ったりしないのはえらいかも。親に助けてもらってハッピーエンドでよかったね。でも幸せすぎない?男性版のハーレクインロマンスみたい。

 ひょっとして私は、文楽ではちょっと不幸でドロドロな方が好きなのかもしれない。というか、人形とはいえ、あまり人の幸せを見たくないのかも!?(ドキっ!!)落語はあくまで楽しい方が好きなのだけどなぁ……。ちょっと自分の嗜好について考えさせられた一日でした。うーむ。

■成人式は是か非か?愛は世界を救うのか?「べにこご vol.7」(2003.1.14.tue)

 今月も第2火曜はべにこごです。
 開演はいつもと同じ19:30で、終演は22:30。

  紅雀さん「初天神」
  こごろうさん「黄金の大黒」
  いつもの楽屋着トーク。ただし今日は新聞読みながら。

 ………終演後、あるお客さんは「勝った!」とつぶやきニヒルな笑みを残して去って行かれました。(どんな会やねん)

 えーと、次もなにが起こるのか、誰にもわかりませんが、よろしければ是非遊びにいらして下さい。次回は2/11は祝日なので14:00からやることになりました。終演時刻はもちろん未定。あたたかい装いでおこし下さいませ。

■第2回桂こごろう独演会(2003.1.13.mon)

 こごろうさんの独演会に、日本橋の国立文楽小劇場へ両親と。座ったが最後、カウント10で眠ってしまう母は「途中で居眠りしないかしらん」と心配顔。私にしてみりゃぁ「大丈夫、おもしろくてそんな暇ないから!」と思う。でもでも、記憶の糸を辿ってみれば、爆笑系の某噺家さんの会へ連れて行ったとき、周りが笑っているその中で、「ほとんどイビキ」という寝息をかまして、あわてて肘鉄くらわせたことがある、あるぞえ。うー、万が一そんな所業に及んだ時には、娘の私が責任持って息の根をとめないかん!と、いつになく緊張した面持ちで二番太鼓を聞いていた今日の私。

 歌々志さん「子ほめ」
「テンプラァァァ!」の、アクションにふいをつかれて笑殺される。何回か見ているから「アレが来るぞぉ!」とちょっとは体勢を整えることもできるはずなのに。でも、物覚えが悪い方が、何回も新鮮な衝撃を味わえて幸せなのかもしれない、とも思う。

 こごろうさん「おごろもち盗人」
以前のこごろう堂で、遅刻してサゲしか聞けなかったネタ。そう、あの時は「初めから聞いて、たっぷり笑わされてすっかり弛緩している他のお客さんたちの顔」を憎々しげに見ていたのよ。(←こういうことは不思議と覚えている)今日はマクラで「忘れ物をしたおかげで、師匠からプラダの靴をゲットしてシメシメ」とおもしろおかしくしゃべったところで、「あの靴はヤル気やなかったんやぁ!!」と南光師匠登場。うれしいハプニングに会場沸きまくる、こごろうさんは感動してちょっと涙ぐむ。(←ここ、かなり盛り上がった)
さて、ネタはたいへんいい響きのソロバンに始まり、盗人の絶叫に終わる。その間、笑いっぱなしの私。隣で母も絶えまなくケラケラ笑ってる、まるで我が手柄のように、心の中で小さくガッツポーズ。自分が大好きな噺家さんが他の人に受けると、妙に得意げな気分になるもんですね。

 あさ吉さん「稲荷俥」
私はお久しぶりのあさ吉さん、正直モンの俥夫がメチャクチャキャラ似合ってる。独特なペース、おっとりした身ぶり手ぶりを見てるだけでおもしろいです。

 こごろうさん「桜の宮」
キャラクター造型の愛らしさが魅力のこごろうさん。このネタは特に、出てくる登場人物がみぃんな個性的で爆発的に楽しい。私は中でも、いつも笑ってるこごろうさんの喜ぃやんのファンです。あんまり大活躍はせぇへんけど、うれしがって仕込み杖を抜いてる様子とか目に浮かんできて大好きや。隣の母は、ここでもご機嫌。

  中入

 こごろうさん「茶の湯」
うちの母もちょっとだけ茶の湯かじった人間なので、このネタはめちゃくちゃツボだったみたい。いつ聴いても茶の湯の館のトンデモナサはスゴイ。でも滅茶苦茶やりまくってるのに「お先に」はちゃんと言うところが、なぜかいつも笑える。ノドが痛くなるくらい笑いまくって、大満足の会でした。あぁ楽しかった!!

 さて、笑い過ぎてフラフラしている両親をひきずって近所の高津の宮へ。今日はここでちかちゃんが綱渡りをしている。ひょっとしたら進行が遅れてちらりとでも見られるかと思ったけれど、ムリ。残念。高津が宮に参詣なし、屋台の燗酒呑んで休らう。……風は穏やかにて、小砂は眼入せず。延陽伯さんや崇徳院の若旦さんゆかりの高津さんやし、今年こそ結婚できますようにとお賽銭をはずむ。隣の高倉稲荷さんにもお参りし、着替えのすんだちかちゃんに、会の様子や南光さんがちらと出たことなども話し、また綱渡りのことなどでも、盛り上がる。いくらお祭とはいえ、神社の境内だし、話すことは尽きないけれど、独演会のパンフを渡し、また明日ねぇと、今日のところは別れて帰路へ。明日は「べにこご」、ちかちゃんは今日のリベンジ、私は今日の興奮覚めやらぬ状態で会を迎えることになるのね。楽しみぃ。

 地元に帰って屋内型中華街で夕食。親が一緒なので、桂花陳酒ソーダなんぞをかわいらしく飲み、歩いて帰ってラジオで南光さんの歌謡大全集を聴く。あぁ幸せな休日。でも、明日はべにこごだから、また大声で笑える。さ、それを心の糧に宿替えの準備と明日の仕事も頑張ろう。

■正月休暇の果て(2003.1.5.sun)

 年末からかなり飲んで遊んで、疲れが出ました。今日は京都での枝雀一門会に行くつもりだったけど、取り止めて休養します。
 明日から働くの、ヤダよう……(泣)

■文楽新春公演(2003.1.4.sat)

 ウグイスさんと示し合わせ、夕方から着物で文楽へ。雪の恐れがあったので、アタシは今日も一級カセンの洗える着物。「粗忽なんやから、絹物着る値うちあらへんわ。あんたはポリでえぇねん、ポリで!」と母が外出前に憎まれ口。先日借りた羽織にシワを作ってしまったので、ちょっとご立腹なのです。いやいや、怒りなはんな。着ないと馴れへんやないの、そのうちこういうこともなくなるってば。でもそれって、いつだろう。
 文楽のお客さんは、着物の人がとても多い。しかもみなさんとってもシャレてるので、見ていてとても楽しい。

 さて、本日のラインナップは……

 「祇園祭礼信仰記」
   金閣寺の段・爪先鼠の段

 「壷坂観音霊験記」
   土佐町松原の段・沢市内より山の段

 「団子売」

 文楽の快楽こそ、劇場に足を運ばなきゃ体験できない独特のもんですよねぇ。あの語りにしても三味線のフレーズも、人形も、「あー、私は今とっても日常から遠くを飛んでるなぁ」という気分にさせてくれる。でも物語は「人間」を濃く・濃く描いたものだから、「あー、かけはなれすぎててついていけないー。落ちるぅー」ということにはならへんのです。本当に不思議な世界。
 また今回の「祇園祭礼信仰記」こんなん言ったら怒られるかもしらませんが、B級映画みたいなクダラナさ、ヤリスギ感がツボでした。美女の緊縛、夫の命をカタにとって、人妻に言うこときかせようとしたり、仇討ち、立ち回り、ほんに盛り沢山。舞台装置の仕掛けもすごかったぁ。もう一回見たい!
 正月ということで、舞台から記念の手拭がまかれて、私も一つ頂戴しました。今日は本当にいい日♪

■一心寺亭・三日目(2003.1.3.fri)

 遠方より来客があり、早起きして会いに行く。外はしとしと冷たい雨。家を出た時には雪だったのにね。三が日は何があっても着物を着てやる!と意地になっていたので、悪天候をおして和服の女の私。ただし、今日は一級カセンの小紋に滑り止めのついたビニールの草履で雨対策。大阪を案内してくれと頼まれても、落語と重なっていれば、断るしかないの、ごめんね。着物姿だったので、先方はデートだと思ったみたい。ミエもあり、誤解を解く時間もわずらわしいので、そういうことにしておく。落語を聴いてる間は高座の噺家さんとフォーリンラブ・ウィズユー♪状態のアタシなので別に嘘でもないか。(←ずうずうしい?)

 しかし、しゃべりが長引いたため、一席目の智之介さんは聞き逃す。一心寺シアターは満席だったけれど、ぽつんと空いていた席は実に見やすいポジションでした。落語の神様ありがとう、この調子で今年も御加護をよろしく!

  桂こごろうさん「阿弥陀池」
新年から二日続きでこごろうさんとランデブー♪幸せな正月だねぇ。

  旭堂南海さん(講談)「荒茶」
すごい!!見せる聴かせる惹きつける!!江戸開幕400周年で、太閤リスペクトの上方講談は危機の年とのことでしたが、ここに一人、今年は講談の会へも足を運ぼうって気が満々の女人が一人いるのだ。年末には南湖さん、年頭には南海さんにイワされて、2003年は私の中では講談旋風かも。

  桂九雀さん「親子酒」
そうよそうよ、九雀さんの親子酒っていうと去年ワッハの枝雀一門会で聞き逃したネタよ。あん時はI姐さんに「おもしろかったのよぉぉ」と、かんなりうらやましがらせられたんだっけ。(←見よ、この執念深さを)難波の仇を天王寺で取ったワケであります。なるほど、これはおもしろい!!
 ……でも、逆に言えば、あの一門会の時に聴けてたら、2倍おいしかったのね、あの日あの時上司が早く帰らせてくれてたら……(恨みの炎再燃中)去年はあまり九雀さんに会えなかった、今年は一席でも多く聴けたらいいな。

   中入
 横浜からのお客さんのひでさんとお年始の挨拶。昨日もこちらにおいでやったそうで。確か秋にも来てはったっけ……で、なんです?来月もおいでなんすか?……酔狂な(ぼそ)それだけ上方落語に魅力を感じて下さってるというのは、土着民として、大変うれしいことです、はい。あ、そうそう三島大社のお神酒、どうもありがとさんどした♪

  笑福亭由瓶さん「転失気」
マクラとか、ラジオとか、阪神シティケーブルの百均の番組のレポーターとか、日常的なお話は勢いがあって本当におもしろい……とは前々から思ってた。で、ネタの方も久し振りに見たらえらいおもしろくなっていて、急成長に正直ビックリ。若い噺家さんはこれやから油断できないですねぇ。

  桂福車さん「看板の一」
マクラの熱い語りもおもしろいし、それよりなにより江戸っ子のおやっさんに萌え〜♪テンポのよさも粋だねぇ。プログラムにグリグリ花丸つけて、私は本日特に大きく拍手。とても印象的な高座でした。

  桂吉朝師匠「厄払い」
新春2連チャンで吉朝さん。日が違い、ネタが違えば印象もコロっと変わるのものなんだなぁ……としみじみ聴く。

  中入
誘惑に負けて粕汁300円を購入。へたりこみ、そばに知り合いが何人もいたにも関わらず、誰にもわけずに全部一人食べると、おいしくて体ぬくぬく。

  桂坊枝さん「火焔太鼓」
高音の絶叫が飛ぶ飛ぶ!ハイテンションな大熱演に、ついついこちらの笑い声もカン高くなってしまうワケで……。粕汁効果もあったのか、顔がほてって熱い熱い!おもしろかったぁ……。

  内海英華さん「女道楽」
三味線の音色、唄声はもちろん、見た目の色・艶・潤い・軽やかさ……ねぇ、これが女っちゅーもんでっせ。美しい。えぇ目と耳の正月させてもらいました。

  笑福亭仁智師匠「ハード・ラック」
早く終わってほしいような、まだまだ続けてほしいような、不思議な話。イラツキとマゾッ気が、ゴチャゴチャーっと結びついて、むずがゆい刺激を笑い袋に伝えてくるのです。こういう笑いもあるのねぇ。

 いろんなタイプの噺家さんを見られてしかもこれが1000円ポッキリ!場内にとても活気があって、落語の内容はもちろん、正月の晴れやかムードも味わえて、とてもいい会でした。ロビーで飲食物が食べられるのもうれしい。毎年恒例、もしくはいっそ31日の真夜中開催で、ロビーで年越しソバ食べちゃって、落語の合間に除夜の鐘もライブ聞いちゃって……なんて会になってくれたらいいのに。妄想は膨らむのであります。落語ファンは、遊ぶ場所が少ないからね。

■米朝一門会(2003.1.2.thu)

 今日は2003年の落語の聞き初め。どうぞ今年もたくさんいい落語が聞けますように。

 コスプレで落語会に行けるのも正月ならでは。こういう機会は逃してなるもんか(←はい、私はうれしがりです)というわけで、早起きして雑煮食べて、ヤワラカモンを着る。昨日よりも硬い帯を結ぼうとすると、左手がツリそう。痛いぃ。でも、負けるもんか。

 こごろうさん「動物園」
今年の落語生活はこごろうさんから。口に手を当てるのが間に合わず、でっかく口を開けて大笑い。(一張羅着てるのに、おスマシがもたない)いやーえぇ初笑いでした。

 千朝師匠「桃太郎」
正月どこ吹く風のマイペースっぶり。ウルトラマンのカルトなデータを流暢に喋るマクラ、無邪気なパパ、ジジムサ息子の身振り・シャベリが、千の針で私のツボを狙い撃つ。う〜ん、愛らしい♪今年も追っかけまぁす。

 すずめさん「悋気の独楽」&奴さんだよ♪の踊り
今日初めて生で拝見しました。眼福々。男性がやるとただただ笑って見ていられるご寮さんが、女性がやるとどうしてこんなに胸が痛くなるのか。あかんあかん、私ったらスグに感情移入してしまうねんから。

 吉朝師匠「七段目」
トランス状態の二階と、素の一階との対比が愉快です。会がハネた後、私の側に座っていたお客さんの何組かが「やっぱり吉朝さんやね」と、言いながら席を立っていかれたほど。華やかでお正月にふさわしい一席でした。おみごと!

 小米師匠「猫の茶碗」
前席でテンションあがって吉朝色になっていた会場。でも、小米さんが話しだしたところで、しゅっと雰囲気が変わりました。立見も出ている会場を、一人で惹き付けて黙らせる、噺家さんってスゴイなぁ……と、感慨しきり。

 米朝師匠「けんげしゃ茶屋」
行動はエグいのに、全然憎めない大旦那。この風格と愛嬌はどう?どうよ!国鶴になってイジワルされたいです。いや、私はマゾやないです、これも米朝師匠なればこそ。他の人ではこうは思わないってば。ただうっとり。

  中入
 朝必死で結んだ帯が崩れかけていることに気がつき、トイレで直そうと恥ずかしそうにロビーに出ると、一人のやさしそうなご婦人が「お姉ちゃん、帯ずれてるね、大丈夫、ちゃんと直してあげるからね!!」と、あちこち引っ張って、整えてくれはった。ありがたい。ああいう人に会えるのなら、恥をかいてでも臆さず着物で出かけようと思える。初めから上手な人なんておらへんって。(←全然懲りてない)

 米八さん「曲独楽」
去年はなかった独楽が灯籠に伝い登ってパンパカパーンと弾ける技にびっくり!十二分にもりあがった一時でした。お正月にぴったりやねぇ。

 雀三郎師匠「帰り俥」
でました初日の出!パンフレットの名前が「桂雀三郎桂」南光師匠が「南 光(みなみひかる)」になっちゃってましたの。あぁ、行揃えジャスティファイで改行する場所間違えはったのね、よぅやるよぅやる……と、そういうのを仕事で作っている立場なので、このオペレーターさんが、さぞやいたたまれない気分でいはるやろうなぁ、ひょっとして落語ファンとかやったら、消えたい気分になってはるやろうなぁと、同情しきり。しかし雀三郎師匠にかかっちゃ、それも笑いの素、メクリ忘れも、ミラクル回転レシーブで笑い取る取る!!ネタがまたおっかしいの!頭の中に日本地図を思い浮かべ、すさまじい移動距離に激笑いしました。好き好き♪お歌の初聞きはいつになるかな?

 南光師匠「闘病日記」
まさかずっと病気の話のまま終わると思ってなかった。正月から急性肝炎だの、点滴だの心臓キューだのって……後で思えば変な感じ。でも、聴いてる間には完全に南光さんにペースを奪われて、ずっと笑わされまくりでした。こっちは着物を着ているだけに、帯つかまれてクルクル回された気分。

 正月だけに贅沢な会。満足度かなり高!で、終演後は今年初の落語の後の酒。うまい!今年もこれだけはやめられんなぁ。グヘヘヘ。

■初釜(2003.1.1.wed)

 あけましておめでとうございます。
 私の元旦は、ヤワラカモンに身を包み、茶の湯だ、初釜だ。
 膝をにじってお膳をいただき、食べる食べるモクモク食べる。師匠がご贔屓にしてる京都のなんたらいう料亭のお料理らしい。めっちゃおいしい!でも、心得のあまりない人が多い、真似事のようなもんでも、そこはお茶席だから、いつものように「激ウマー!」とジタバタ見悶えたりはできないのです。く、苦しい。ちょっとずつでも品数が多いので、結構お腹一杯。
 花びら餅食べて、濃茶飲んで、お薄は私が立てて、記念撮影。家に帰って、着物脱いで、自分の作ったお煮しめ食べて、お雑煮食べて、燗酒を右手と左手でもって一人でやったりとったり。友達から電話があったけれど、おっくうなので、もう今日は出て行かない。

 あーくつろぐ。
 そんな感じでしっとり始まった2003年。どうぞよい年でありますように。

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