日記の看板・春
当庵主人の日記です。


■千朝落語を聴く会(2002.3.29)

 太融寺二連発。よくよく考えたら2002年に入ってから千朝さんを聞いていない。思いは募りまくっています。飢えていたの。今日が来るのを待っていたの。残業なんか言いつけられたら泣いてやる。爪も切りそろえて朝からフル回転。私の稼働率は後の楽しみが「ある時」と「ない時」でコントラストがはっきりしている。551のCM並み。
 落語の神様の御機嫌がよかったようで開演前に太融寺到着。夜の太融寺の落語会で、門が開いている時に入場できたのは初めてです。うれしいなぁ。今日はフルコースで落語会。いつも声をひそめて腰を低くして会場へ滑り込むのに、今日は態度もデカくズカズカと!いきなり鳴り出した二番太鼓に心臓キュっといわせるのも楽しい。そうそう、やっぱりこうじゃないとね!
 前座は紅雀さん「鷺とり」ニワカなしが悲しいけれど、途中でアクシデント?それとも演出?とドキっとするところがあって、おもしろかった。もし演出だったら、次に見た人の面白さ半減だから内緒!秘すれば花というではないかいな〜。前から思ってたけど、紅雀さんって、ミスをカバーするのがうまい。というか、ミスッた方が絶対おもしろい。頭でというより、反射神経で落語してるんじゃないかと思う。いつもいつも「ミスらへんかなー」と期待してるファンって、アカンかなぁ。
 おまちかね千朝さん「江戸荒物」ああ、千朝さん!おひさしぶりです。縦長に開く口の形も声もあいかわらず大好き。江戸言葉がチャキチャキっとしててかっこいい。関節どないなってんねんとツッコミたくなるその動き方も健在。腕の一振り一振りに吹き出す。だけど、特別大袈裟に表情を動かすわけでもなく、すっとんきょうな声をあげるわけでもないのに、あのおもしろさって……。あかん、私はこの人に心臓握られてる。離れられへんわ。
 米二さん「壷算」徳さんがめっちゃくちゃ賢い、なんか理系チック。あれは騙される方が悪い!なんで肩を持つかというと、米二さんの徳さんはなんだか男前だから。今日は声の調子が悪いとのことでしたが、気になりませんでした。柄を合わせた帯と羽織の紐がすごく気になった。着物も「よいもの」という感じがする。わー、おしゃれやなー。
 千朝さんの「高津の富」。……何がどうおもしろかったか、どうしても文章にできません。あまりにも印象が強くて、今でも千朝さんの姿が目の前にありありと浮かぶし、声も聞こえてくるのです。でも、どう書いたらいいのかなぁ。そういえばま○よさんがD丸さんのチャットで「千朝さんの高津の富を見ずして、高津の富を語るなかれ」と書いてらっしゃった。うまいこと言うわ〜。私はそうはいかんわ。いや正直なところを言います、人に教えるのが惜しいんです。私はケチやからね。ふふふ。
 でも本当にねぇ、千朝さん特別なことはしてないんですけどおかしいんですわ。ひきつったように笑いが止まらないんです。ゲラゲラではなくムフフフという感じ。

 ……あ、そうでもないか、してはるわ特別なこと。「はれほれひれはれ」とか「秘密の花園」とか、いろいろ。
 でもでも!それはあくまでもピンポイントなんですってば!(しっかし、これが笑いのツボに深く刺さるんです!)本当に話し方もきっちりしてて変な抑揚付けたりしてないのに、行間ににじみでる可笑しさ。さっぱりしたお姿から溢れでる妙な怪しさ。二日たった今も私は思い出し笑いのキショい女。でもこの余韻が消えるのはイヤだから、しばらく落語聴くのやめとこう。そういえばうちの父が前に福笑さんを聴いた後、「あまりによすぎたから、当分落語は耳に入れたくない」って言ってた。その時は理解できなかったけど、今はその気持ちがわかる。こういう気分になる時もあるんだなぁ……。爆発的に笑って明日にもまた笑いたいと思う時もあるし、今日のようにあとまでじんわり長引いて、攻めてくるときもある。「笑い」という感覚は一くくりにはできないなぁ……。とりあえず今週末までは落語会には行かないと決めたんだもん。

■落語VS楽語(2002.3.28)

 先月は最悪のコンディションで、しかもちょっとしか聞けなかった文我さん。今日こそは呼吸を整えて、ゆったりと落語の海に潜りたい。
 しかし落語会に行くためにターボをかけて仕事をすると、ほとんどいつも爪が折れちゃうのです。ACTA寄席の時には右手の人さし指が欠け、「あがき」の時には左の中指。今日は右の中指の爪の先端5mmが、気が付くとブラブラしていました。ちょっと痛い……。キーボードを連打する仕事をしている以上、長くてきれいな爪は夢のまた夢?
 でも……、働けど働けど 二番太鼓は聞けじ ぢっと手を見る。

 40分遅刻。普段よく行く落語会とは、趣が違う会でした。タイトルが「落語VS楽語」常福寺のお住職、松尾光明さんの辻説法と文我さんの落語、そしてシメに面白対談というプログラム。パンフレットには書いていなかったけれど、前座はまん我さんで「餅屋問答」だったそうで、……惜しい事をしました。
 松尾さんのお話、とても面白かった。うちのお寺さんにも見習ってほしい。心の持ち方一つで、今まで見えなかったものが見えてきたりするんだろうな……。笑ったのに、聞き終えて胸にあたたかいものが宿った感じ。しばらく墓参りにも行っていないけれど、花でも持ってご先祖さんに話しを聞いてもらいに行こうかな。
 文我さん、さきほどの松尾さんのお話を受けて「花と疑惑の総合商社ときたら、このネタしか思い付かなかった」ということで始められたのは「百年目」。
 うれしかったです。2月の喬太郎さんとの会で演られてたそうで、その様子を伝え聞いてクヤシヨガリしてたんですもん。「私もいつかは聴きたい」と思っていましたが、持ちネタが滅茶苦茶多い文我さんのこと、そうそう聴く機会が得られないんじゃないかと思っていました。祈りが天に通じたのかなぁ…。
 真面目に顔をしかめて左向いた番頭さんが、右向いたら目がクリクリの定吉っとんに早変わり。酔っぱらった瞬間に顔が赤くなり、次の瞬間素面の旦さんの普通の肌色に戻る。いろんなテクニックで魅せてくれます。この方の声(というか発声の仕方?)がとても好きです。鍛えられた声って感じですよね。
 この感想、なんていいますか……日本料理屋のカウンターで、目の前の華麗な包丁捌きに、おおーっと感心し、すかさず出てきたその刺身食べてみたらめちゃくちゃおいしくて、言葉がでなくてバタバタしちゃったって感じ。んでもって魚はスズキとかの、タンパクだけどほのかに風味のある魚。器には桜が一輪添えてある。いったいどんな例えや……。おいしく頂戴しました。ごちそうさまでした。
 中入りで、たねやさんのドラ焼きとお茶を頂戴する。仕事の後で飛んできたので、甘いものがしみ渡る。イシハラホールの独演会・夜の部のチケットを買いました。とてもいい席です。楽しみ〜。
 文我さんと松尾さんの「面白対談」。色々な噺家さんの高座での失敗話が楽しかったぁ。

 終わったらもう9時前。9時ちょうどに約束をしていたので慌ただしく太融寺を後にしました。東京からのお客さまって、どういうところに連れていけば大阪っぽさを味わってもらえるものなのかなぁ……。立ち食い串カツと観覧車でよかったのかなぁ……。みなさまにとって「これぞ大阪」っていったいなんです?

■辻村寿三郎展(2002.3.24)

 落語には関係の無い話なんですが、高島屋の辻村寿三郎展へ行って来ました。しかも二回目。
 私は生まれたばっかりで見ていないのですが昔NHKで「新八犬伝」という人形劇をやっていたそうで、その人形をこさえた方です。あとは平幹二郎様主演の「王女メディア」の衣装デザインなんかもやってらっしゃった。高校生くらいの時に泉鏡花の作品をモチーフに作られた幻想的な人形に魅せられて、いまだその魔法から醒めない。会場から盗んで走って逃げたくなるくらい好き。
 源氏物語絵巻が今回のメインなんですが、私は修行する空海をモチーフに作られた仏像の人形達がたまらなかった。
 着物が美しくって、日本の文化のすばらしさを再認識。よかったら皆様も一度ご覧下さい……って、明日までじゃん。

■落語本舗こごろう堂(2002.3.23)

 連日の暖かさがうそのように冷え込んだ土曜日。我が豊中が誇る名ホール、伝統芸能館のこごろうさんの会へ行って参りました。
 バスで30分程度、しかもバス停は近所で、ほぼdoor to door。寒い日にはありがたい!しっかし、見る度に惚れ惚れするええ会場やわ。ふっふっふ。きっとどこかには私の市民税が使われているはず。そう思うとなおさらうれしいね。(私は12星座中一番身びいきの激しい蟹座の女)ここは高座がギシギシ言わなければほんまいうことないねん。あ、それから時々会場の電気がチカチカするのもね。
 お客さんの入りは90%くらい。遅刻しないで二番太鼓を聞いた落語会は久し振り。(上方亭はお囃子が生ちゃうねん)柝の音が現実と私をすっぱり切り離してくれる。これを聞かなきゃ生落語の楽しさは3割引。ああ、遅刻しないでいけるって素敵。さて、2日ぶりのこごろうさん、まずはご挨拶から。某映画のプレミア試写会に招待されたことをめぐるお話。こごろうさんはフリートークもとっても臨場感がある。ありありと情景を想像して、しょっぱなから会場は爆笑の渦。今日は客席に笑い声リーダーがいらしたから、開放感あって客の声もよく弾んでました。
 林家染左さん「江戸荒物」エセ江戸言葉がめちゃくちゃ面白かった!これ、逆バージョンで、東京人のやるエセ上方言葉とか聞いてみたい。染左さん、声に重みがあっていい迫力でした。
 こごろうさん「ちりとてちん」表現力豊かで腐った豆腐がマジ臭って来そう。思わず背中のけぞって、顔をしかめてイヤイヤと首を振ってしまった。でも、「豆腐、腐らせてみたい」という好奇心が私の中で芽生えてしまった。これって抗いがたい誘惑やわ。絶対誰か実験した人がいるはず。もし試した方がいらしたら、結果を教えて下さい。掲示板に書くのに抵抗があるなら、メールでこっそり、ね。ひとつよろしく。
 このネタは南光師匠が初代春團治師匠のレコードを聞いて「なんておもしろいんやろう」ということで、現代風に書き起こされたそうです。そうやったんやー、さの字ひとつ賢くなっちゃった。そういえば、このネタ、南光師がテレビでやってるのを見た覚えがあるなぁ。こごろうさんのがおもしろいだけに、南光さんのも生聴きしたくなる。あ、これって決して南光さんのが「元祖」でこごろうさんのが「本家」って言ってるわけじゃないです。好きな噺やわぁ。
 喜丸さん「鬼の面」女子大の講師に行くことになったよもやま話がおもしろかった。初めて聴いたネタですが、お調子者の旦さんが微笑ましいわ、めっちゃ好き。これ、ええ噺やなぁ……、喜丸さんの温厚な雰囲気にもよく合ってます。しかし船場から池田は歩くには遠すぎるで!ご苦労さんやったなぁ。
 こごろうさん「桜の宮」図書館で借りた落語テープを寝間のお供にしていた私には東京の「花見の仇討」として馴染み深いネタです。そっか、こっちでは「桜の宮」っていうんですね。初めの方の友達同士の役割分担を決めるところとか、東京の方のよりも和気あいあいとしていて楽しそう。この時のこごろうさんの衣装は黒紋付に袴。これがまたええ男っぷりなんですわ。ほわーっとなってしまいました。「今日はちりとてちんも桜の宮も、黒紋付も袴もみんな師匠にもらったもの」だそうです。助太刀しようとするお侍さんがどうも九州出身のようで、言葉遣いがおもしろかった。「○○するばい。……するばい。バイバイ」ってな具合。ドタバタとよーく笑わせてもらって、頭の中がカラッポになりました。へらへらしてる喜ぃやんも好きやった。
 いろいろ感想もあったんだけど、笑い過ぎて頭の中が真っ白で、すぐには思い出せません。きっと、あとから時間を置いてしみじみと記憶が戻ってくるんだと思う。仕事してる時に、唐突に爆笑なワンシーンが頭にぽっと浮かんできて、笑えて困ってしまう。こごろうさんの落語っていつも私にとってはそんな感じです。あぁ、今日も幸せやった。

■春分の日に上方亭ライブで男前を見て、気分は爛漫(2002.3.21)

 すっかり春ですなぁ。桜ぼちぼち咲いてますなぁ。
 というわけで、上方亭ライブの紅雀さんの衣装、先週の雀三郎さんの時と同じのでしたが、あの日はサーモンピンクと書いたけど、今日はあえてサクラ色にしておくのじゃ。襦袢の襟は茶色、帯も茶色。袖口から覗いた襦袢の模様は藍色の格子柄。噺家さんが濃い色の襦袢を着ていらっしゃると、妙にうれしい。
 マクラは前々日の北海道は佐呂間町での落語会の話。噺家さんはどんどん旅にでてほしい、おもろい話のお土産、とってもうれしい。そこから歯医者の話へ「キュイーン」の声帯模写がリアルで身震い。歯医者キライ。
 この日なにをやるかなーっと、前日仕事中にちかちゃんとメールをかわすこと約5往復。ネタ数多くてこごろうさんはまったく予想できなかったけれど、紅雀さんは子ほめか、牛ほめ?こごろうさんが一緒やからちょっといつもと違うネタをやってくれるような気もする。だったら「ろくろ首」?でも、そう思って期待してたら「つる」やったりして……。でもまぁ「牛ほめ」の線が濃厚かしらんと思っていたら、正解は「ろくろ首」。電池入っているような、おもちゃっぽい動き方と表情、好きやねんな〜。なごむわぁ。無神経で落ち着きのないアホがほんまにかわいい。
 こごろうさんは私が大好きで前から目をつけていた青緑の縦縞の着物。あぁ日本の色とか柄って美しい。男の人がもっと普通に着物着てくれたいいのにねぇ。めっちゃかっこいいのにねぇ。演目は「動物園」。二度目は一度目よりもっとおもしろかったぁ。それにしても、よく出来た噺やな。誰がつくったんやろ……。何回も笑わせてもらって、ありがたいことです。
 この日の上方亭は大入り満員。お客さんのほとんどは落語ファンじゃない人たち。それでも場内受けまくる受けまくる!私の隣に座っていた子供がめっちゃくっちゃ笑っていて、こごろうさんが済んだ後、満面笑顔で「落語っておもしろいな」っと言っていたのが、ものすごくうれしかったぁ。その感動をいつまでも忘れるなよぉ。
 で、会の後にちかちゃんとまんが喫茶初体験してきました。あっというまの一時間。えぇねえ、はまりそう。
 うきうきと楽しい祝日でした。さ!次はこごろう堂へ行くのだ!

■あがき(2002.3.19)

 歌々志さんの「あがき」へ行ってきました。
 19:00開演はありがたいです。開演時間に15分遅れてレッスンルーム到着したら、プログラムもアンケート用紙もすべてなくなっていました。おそるおそる会場に入ると、いっぱいのお客さまでした。「あがき史上最大の入り」だったそうです。
 笑福亭喬若さんは「道具屋」。こないだ岡町で見たのと印象が違うでぇ。落ち着いてて手堅いんやけれど、ほんの一週間ほど見ない間におっさんくさくなってる?ネタが違うせいかなぁ?
 歌々志さん「歌々志が生きてきた日本」今日でこの企画も最終回。「893組」というのをなんと読んでいいか難渋している歌々志さんに、下座から「ヤクザ組!」と声が飛ぶ。「あれは歩く古語辞典、米左兄さんです」これにはウケたぁ。さてさてキーワードはアイドル、千昌夫、昭和天皇、受験、予備校、パレスチナ問題、フェミニズムetc.etc.……と展開して、これからは落語の時代!とまとめはった。さぁ、次回からはどんな企画が飛び出すのかなぁ。楽しみぃ。
 笑福亭三喬さん「月に群雲」小佐田定雄さんの新作。故歌之助師匠ゆかりの作品だそうです。歌々志さんの「いい話」とからめて、松喬師匠の奥さんや、知り合いの女性アナウンサーのボケボケ話がマクラ。この噺おもしろい!というか、やっぱり三喬師匠おもしろい!符丁の言い方に美学を持ってる河内屋のご主人などなどケッタイなキャラが生き生きほのぼのドタバタとボケまくり。あのおもしろさを文章にしろというのは、いつもに増して無理無理!あぁ、楽しかった!今日の三喬師匠は弟子より若かった。
 歌々志さん「鉄砲勇助」
 このネタ、お客も緊張しますね。何しろ最初が肝心なんですってば。上手いこと笑いの波にノレなかったら、ネタが終わるまで苦い時間を過ごさなきゃなりません。最初から最後まで駄洒落やねんもーん。上手くノレたら(というか、噺家さんのノセてもらったら)なんでこんなアホなことで笑ってしまうねーん。と、ずーっと笑いっぱなしで楽しい時間を過ごせるネタ。今日は幸いにして後者でした。スラスラーっと軽やかに笑わせてもらいました。
 中入
 歌々志さん「佐々木裁き」
 そうそう!こういう面白い演目もあったんだっけ!しばらく聞いてなくて忘れていたわ、めっちゃ好きな噺なんです。歌々志さんでは初体験。
 いつもの私は、落語を聞きながら「この登場人物はこんな顔かなー」と、頭の中で想像しながら聞いています。でも、今日はしろちゃんもお奉行様もお父さんも与力もみーんな歌々志さんの顔で浮かんでくるものだから、おかしくっておかしくって!こんな感じもうたまらーん!後の飲み会でそのことを話したら、「僕はいつも登場人物は演者さんの顔で想像している」という人がいらした。例えば雀々さんの演る女の人は、その人の頭の中では「ヅラをかぶった雀々さん」で浮かんでくるそうです。それもおもしろいなぁ。落語の聞き方も人それぞれなんだな−、と改めて思いました。みなさんはどないですか?
 というわけで、やっぱり「あがき」はおもしろい。次の次は10回記念で、二日通しでやるそうです。同じネタを演出を変えて二日やる、という企画らしい。色々考えて楽しませてくれるわ。これからもどんどん意外性をついて笑わせてほしいな。
 会の後、落語ファンの方々の飲み会(喋り会?)にくっついていく。いろいろ聞けてこれもとってもおもしろい。勉強になるなぁ……と思いながら、ふと視線を動かすと、向こうのテーブルに歌々志さんを初めとする総勢4名の若手男前噺家ご一行が!私服だと、どう見ても現役大学生がゼミ帰りに飲みに来てるという風情です。あぁ眼福眼福!と、いうわけで+αありのとってもえぇ会でした。

■桂雀三郎独演会(2002.3.16)

 先にことわっときま、今日の日記は長おまっせ。
 久々の週休二日で舞い上がってる今日の私。洗濯物を干しながら「いつでも夢を」を口ずさみ、掃除機かけながら「愛のさざなみ」で一人盛り上がる。
 お昼に福笑さんの軒付けを親父様と笑いながら見て、カメラワークや編集の仕方にケチをつける。それから徒歩10分のスーパー銭湯へ。夜の雀三郎さんの独演会のために、垢をおとして精進潔斎するつもりが、エステバス→薬湯→温灸風呂→電気風呂→サウナ→水風呂 etc.etc.渡り歩くこと3時間。体力消耗してぶっちぎりで眠い!!
「やばい!もしも落語聞きながら寝てしまったらどうしよう?」
 不安になるにはワケがあります。思い起こせばあれは1月2日、米朝師匠の独演会のこと。上質な落語に夢心地の私はサイフにあんまりお金ないし、都合もわからへんのにすっかり気が大きくなって「桂雀三郎独演会」のチケットを衝動買いしてしまったのです。先行発売ということで席が「最前列のほぼど真ん中」。やーん、こんな席初めてやわ!こんないい席で寝てしまった日には私の落語ファンのプライドはズタボロです。
 目薬さしてフリスク頬張り気合いを入れてサンケイホールへ。でも電車の中でちょっとウトウト……。
 前座は紅雀さん「牛ほめ」衣装はサーモンピンク、帯は茶色で羽織着用。
 ノってはりました。「寝ちゃうかも……」なんて杞憂に過ぎなかった、一発で目が覚めた。おもしろかったから今日は特に男前に見えたなぁ。きっとご本人も会心の出来だったのでしょう、高座を降りる時にめっちゃ笑顔やったもん。(「最前列」やからよく見える)
 赤紫の紋付の雀三郎さん「七度狐」このネタ私めっちゃ好きやねん(*^o^*)。マクラは昔、文我さん・三発さん・米平さんと、徒歩で伊勢まで行った時のお話。乳母車に荷物を詰め込んで、のぼりを立てての四人連れ。三発さんのボケボケエピソードなどなど、笑いあり涙あり痔あり股ずれありの道中記。爆笑!
 煮売屋でのイカの木の芽あえ泥棒から始まりました。喜ぃやんがちゃっかりお酒を盗んで来てて、めっちゃおいしそうに食べてはる。夕飯前の身には、こりゃつらい!ウキウキハイテンションでもうおもしろくてしゃーない!
 朝太郎さんの手品。なにしろ私は最前列!「今日は絶対風船もらう!」と心に誓うも、黄色い風船は空気入れるの失敗して朝太郎さんの手を離れて客席へ逃げた。白い風船は空気入れるだけ入れて、途中でやめてしまった。馬の赤い風船は持って帰ってしまった。くすん。
 こうなったらなんかもらわないと帰らへんで!小心者の私、普段やったらそんなことできないのだけど、トランプのハートのクイーンがどこに行ったかあてる手品、勇気を振り絞って手をあげました。間違えたけれどやさしい朝太郎さんに二回チャンスをもらって、今日の出演者のサイン入り色紙と米朝一門手拭をいただきました。うれしぃ〜!家宝よ家宝!よかった最前列で!
 続いて赤い着物に袴の雀三郎さん「七度狐」の帰りということで「三十石夢の通路」
 いい声の舟歌を聞きながらナイトクルージング。私も三十石に乗って一緒に川を下ってた気分。長旅の疲れでちょっと眠い目をこすりながらも、ドキドキ浮き浮きと残り少ない旅の風情を惜しむ。ババーっと目の裏にいろんな光景が押し寄せてきた。なんというか、この感覚はうまく言えない。夢心地。
 中入
 大阪場所の最中のせいか、お相撲さんが見にきてはった。その世界にはトンとうといので、シコ名はわからない。そばを通ったらめっちゃシッカロールのいい匂いがした。でもデカすぎて怖かった。
 「替わり目」これもまた大好きなネタ。雀三郎さんは粒々の模様が入った明るい水色の着物。酔っ払いのお父さん、ノロケにノロケる。あぁ理想の夫婦やわ、私もこんな楽しい人と結婚したい。あぁ無性にお酒飲みたくなる〜。
 桂雀三郎と満腹ブラザーズのミニコンサート。
 こんなに笑ってええんかいな、満たされきって足がめっちゃ軽い。家に帰って親父様に戦利品のサイン色紙を見せびらかし、サッポロ黒ラベル飲みながら日記をつけてます。あぁこの幸せは、行かなかった人にはわかるまい。あえて言わせてもらいます。「ざまぁみさらせ」

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