日記の看板・冬
当庵主人の日記です。


■泣いて笑って法律入門?!(2002.2.28)

 今日は同じ職場の人が、ご長男が緊急入院ということで早退。20代前半のラガーマンでバリバリに体鍛えているのに、腎臓と肝臓に風邪の菌が入って、大変なことになっているらしい。風邪は万病の元だとしみじみ思い知らされる。ホント、皆様気をつけて下さいね。
 という私も、歌々志・B面に行けなかったショックでまた風邪がぶり返しました。
 職場に行くと熱が上がるみたい。そうか、そんなに働くのがイヤなのか、私。すまんの〜、でも今は休めないんじゃー。許せよー。と、ダルい体で朝刊をめくれば、一枚の折り込みチラシにすっごく小さく「落語」の文字が。(めっちゃ小さい字やし、ぼーっと見てたのに、気づいてしまう自分が不思議。)
 それは○HK大阪文化センターの春講座案内。新設講座「泣いて笑って法律入門〜落語・歌舞伎から学ぶ〜」
 「暮らしの法律を、『壷算』『忠臣蔵』など落語や歌舞伎を題材に涙と笑いでお話します。」
 ……壷算って、……やってること、ほとんど詐欺ちゃうの?
   今日一日、ぼーっと熱にうかされた頭で、壷算から法律の何を学べばよいか考えていた。法の網をいかにかいくぐって得をする方法?でも○HKでしょ、そんなんあかんやん。うーん、うーん。
 で、夕方になってやっと悟りました。きっと徳さんみたいな客にダマされないための心構えを教えてくれるんだわ!
 そうすると今度は、チョンマゲの瀬戸物屋さんが「もう騙されない!」と、一生懸命講議を受けている姿を、さらに将門眼鏡で覗いているような幻覚が頭の中をぐ〜るぐる。熱をはかったら38℃ぶっちぎり。あかん、今日は早退させてもらおう……と思ったのだけどなぜか残業までして、ヤケクソで習い事にも出かけて、帰って来たらなぜか熱が下がってるし、体調も悪くない。
 そっか、やっぱりおまえはそれほど仕事するのがイヤか。このおもしろそうな講座だって、第2金曜日の15:30〜17:30、勤め人には到底無理な時間やもんなぁ……。
 ……皆さん、こんな風に仕事やめたくなったこと、ありますか?

■落語を蹴ってクラシック〜たまにはこういうのもね……〜(2002.2.24)

 「精選上方落語会」の日。でも、私は仕事。日曜なのにぃ。
 こういう悲しい日はスネてダラダラ仕事してしまいがちだけど、でもそうもいかない。行くところがあるから。
 私の友人は私とタメ歳なのに「少年少女合唱団員」。毎年春の発表会では子供に混じってセーラー服着て楽しく「チキチキバンバン」とか歌っている。違和感がないのがかえって恐ろしい。
 その彼女が珍しく大人モードで歌うというので、落語会の午後の部より友情を優先。でも、ちらっと体が二つ欲しいなぁと思う。
 第一部が関西フィルの「運命」。第三楽章でコンサートマスター(白髪のロン毛でマモーに似てた)の弦が切れて「バイオリンリレー」初めて見た。順に後ろに座っている人と楽器を交換してって、一番末席にいるバイオリニストが、こそっと退場するのです。珍しいものを見て得した気分。今年は年頭の枝雀一門会でもむ雀さんの三味線の弦が切れたのを見たし、そういう年回り?
 第二部が友人も出演の「カルミナ・ブラーナ」。よく映画とかCMで耳にする曲だった。
 休憩のことをつい中入と言っちゃって、一緒に行ったツレに「???」という顔をされた。落語の匂いのないところに来ると、自分の脳がどれだけ落語に侵食されているか、かえってよくわかります。さ、気を入れ替えてまた落語通いだ。
 次の予定は、火曜日の「歌々志・B面」。行けるといいなぁ。

■今日は「ひ」〜桂文太のあいうえおコレクション〜(2002.2.23)

 桂文太さんやっと初体験の日。感激!
 地下鉄降りてみたら、会場がどこかわからない!駅員さんに聞いたら「今日はそこへの道順をよく聞かれるんですが、なにかあるんですか?」にっこり愛想して「ええ!落語会があるんです」
 めっちゃ急いでたので駅員さんがどんな顔していたかは確認せず、教えてもらった道筋をただ走り19:08到着。文太さんの「七段目」ちょうどネタに入ったところでした。
 当日の演目です。
  林家笑丸さん「桃太郎」聴けず!残念。
  桂文太さん「七段目」ドキっ!
  露の団六さん「お血脈」なんか不思議な雰囲気の噺家さんやなぁ……。
  文太さん「贋作・百人坊主」ドキドキっ!

 この会場、いいなぁ。ほどよい少人数。巡らした幕に、使い込んだいい色の膝隠し、とても懐かしい空気。
 文太さん、あちこちから「一回聴いてみ!ええで〜」と聞いてましたが、ほんまやね!おもろいわ!
 特に「七段目」かなり好きです!私は、米朝一門の「七段目」しか知らないせいか、出てくる芝居がちょこっと違ったり、これは文太さんの工夫だと思うのだけど、若旦那の二階のお部屋がすごいことになっていたり、とにかくいちいち新鮮なんです。マニアの狂気の気持ち悪〜い描写がすごく好き。じわじわと体の中に侵食してくるおもしろさやなぁ。あぁ、まだまだ私が知らない面白い噺家さんが、いーっぱいいるんだ!本当にうれしくてたまらない。

 
■2月22日は〜「よい夫婦の日」で「猫の日」らしいけど〜(2002.2.22)

 今日は桂千朝さんの誕生日。おめでとうございます。
 でも、長いこと聴いてない。とてもさびしい。3/29まであと何日?

 
■ぬか袋(2002.2.20)

 昨日は米二さんの会に行けなくて、今日はもみじの会に行けなくて、いじけて家でホット梅酒呑んでます。
 涙をのんだ落語会の名前と、それにまつわる恨みつらみを記録する帳面を作って、年末にお寺に持って行って供養してもらったらどうかと真剣に考えている今日この頃。

 さて、話は変わって、我が家では米ヌカ美容がちょっとしたブームです。
 そもそもは、私が薬局で手のひらサイズの「ぬか袋」を売っているのをみつけて、買って来たのが始まり。小さいから「延陽伯ごっこ」は無理だけど、とてもいい匂いで、これで肌をこすると気持ちがいいのです。
 続いて母親がどこからか「米ぬかパック」とかいう美容法を聞いて来た。お米のトギ汁をボールに取って一晩おくと、米ヌカが泥状になって沈澱するので、それを顔に塗る。するとすぐに乾くから、それを指先でこそげおとすと、汚れがとれる上に肌も潤ってツルツルになる、というもの。おぉっ!安上がりでいいねぇ。
 米ぬかが余ったから、おまえもやってご覧というので、ちょっと試してみました。
  母「どう?気持ちいいやろ?」
  私「んん〜肌のくすみが少し取れたような気がする……。
    でも、買って来たぬか袋はとってもいい匂いがするのに、これは匂いがスッパイね。
    本当の米ぬかって、こんなんなんや。ぬか袋は売り物だけに香料でも入れて、
    匂いをごまかしているのかなぁ?」
 母はちょっと考えてから言いました。
  母「あ、ひょっとしたら、そのヌカちょっと古くなってたかも。一昨日米研いだ時のやし」
 それ……腐ってる!絶対腐ってるわぁ!
 私、思いっきり顔に塗りたくってもうたやんか!!ひぃぃぃぃ。
 明日目が覚めて、もし湿疹でもできていたら、恨み日記の記念すべき1ペ−ジ目を飾るのは、おかん、あんたやで!!
 あぁ、恨めしい。

■桂文我上方落語選(2002.2.18)

 今日は楽しみにしていた文我さんの落語会。
 なのに終わらない仕事!時間は刻一刻と過ぎる。頬がピクピクと痙攣して、額にシワが寄り、背中に吹き出物がポツポツ頭を出すのがわかる。同僚がびびっている気配もヒシヒシ感じる。あぁ、わたしってヤな女だ。
 ようやく解放されたのは19:23で、もう開演から1時間過ぎようという頃。普通ならあきらめてすごすごと帰るところだけれど、このまま険悪な空気を持って帰るのはイヤ。
 だから、疲れた体に鞭打って走りました。目指すは梅田の太融寺……。
 五席あるところ、聞けたのは「坊主茶屋」の後半と「五両残し」。
 ……でも、行ってよかったぁ。粋で明るい文我さんの落語。ほんわか笑って、聞き終わった後は心がしゃんとする。消耗した精神力をチャージしてもらった感じです。
 これでまた一週間働ける。しかも、会場でもらったチラシ……3/29に太融寺で千朝さんの会!前座は紅雀さんで、助演は米二さん。わぁぁぁぁ!絶対絶対この日は早退!スケジュ−ル帳にグリグリ印をつけました。もしもこの日に残業が入ったら……私今度こそ壊れる。
 あ、ところで今日のまん我さんの開口一番はなんだったのかなぁ。気になるなぁ……。
 さすがに疲れたから、今日は早く寝ます。明日から、また頑張ろう。

■奈々ちゃん(2002.2.17)

 仙台在住の奈々ちゃんは私の幼馴染みの娘。三才にして身長が97cm。その奈々ちゃん母子が大阪に里帰りしてきたので、梅団治さんの会をあきらめて、一緒に遊んできました。
 奈々ちゃん、三才だけどすでに自分の体重のサバを読む。
 かわいくってかわいくって、テレビの後ろに落ちた紙飛行機を拾ってあげたのだけど、「これ返して欲しかったらチューして♪」と、まんまと「口チュー」をせしめました。あとから考えると、まるでスケベ親父のような振る舞いやなぁ。私にこんなことをさせてしまう子供の魔力って恐るべし。

 4時間ほど思いっきり遊びまくったら、すっかりクタクタになりました。帰ってばったり宵寝、夜中に目が覚めて久々に真夜中ネットライフ。
 明けた月曜日、ちかちゃんからショックなメールあり。
 3/7の住まいのミュージアムの落語会の前売、昨日限定発売だったらしい……。
 知らなかった!た、立ち直れない……。
 傷心を慰めに、文我さんを聴きに太融寺に行こう。体に力が入らないけど、そのために仕事がんばろう。これがもしも残業で行けなかったら……私、ちょっと壊れるかも。

■米揚げ笊と東洋陶磁美術館と「ごかいらく落語会」(2002.2.16)

 昼から本町のクライアントのところに行った。そこでの用事を済ませたら、直帰してもいいことになっていたので、半分だけ休日出勤でありました。中之島の東洋陶磁美術館へ行こうと思い、電車に乗ろうとし、ふと気が付いたのです。「ここは心斎橋筋、隣は丼池筋。これは……米揚げ笊ツアーでしょ!」というわけで、プチ観光してみました。
 休日の丼池筋は、歩いている人も開いているお店もまばら。落語ゆかりの瓦町、平野町に道修町を抜け中之島に向かう途中には、オフィスや問屋に混じって、ちらほらと土蔵やら適塾やらお寺の建物を使った幼稚園やら、はたまた銅座跡の石碑やら。
「デジカメ持って来たらよかったぁ!」
 落語好きは独り遊びが上手くて得やなぁ、と思う。ただ歩いてるだけなのに顔が笑ってしまう。
 栴檀の木橋はあえて渡らず、遠回りしてライオンさんのいる難波橋へ。そのまま渡れば美術館はすぐなのだけど、お天気もいいので、もう少し歩きたくってバラ園へ迷いこんでしまいました。
 バラは咲いていないけれど、中之島バラ園には、ちと色っぽい思い出があるので、ちょっと懐かしんでみたりなんかして。ついつい天神橋まで行ってしまいました。
「あたし、お昼ご飯まだ食べてないやん」
 というわけで、今度は松屋町筋を南下。でも、女一人で入れるようなお店が開いてなくって、マイド−ム大阪まで歩いたところで、めんどくさくなってコンビニで野菜ジュース買って済ませました。
 今、地図を見て、もう少し歩けば農人橋だったことに気が付き、行けばよかったとちょっと後悔。(おいおい、本町まで戻ってるじゃん)
 逆戻りして、久し振りの「東洋陶磁美術館」へ。一生手に触れられないような美しい器ばかり。それを使うシチュエーションを想像するのはとても楽しい。頭の中で、彼らに白和えやキンピラを盛り付けて、食べてみたりなんかして、至福の時を2時間ばかり過ごす。
 そして、今度はデジタル8ビルの「ごかいらく落語会」へ。
 当日の演目です。
  桂団朝さん「参観日」(くまざわあかねさん作)
  笑福亭鶴笑さん「ご存知人形噺」
  桂九雀さん「とり」(小佐田定雄さん作)
   中入
  桂雀三郎さん「貧乏神」(小佐田定雄さん作)

 とってもとっても楽しかった!詳しくお話したいのだけれど、新作ってあまり中味をしゃべってはいけないような気がする、今日はがまんしよう。
 個人的なお気に入りは団朝さんの「参観日」。日常と非日常の組み合わせがとにかく絶妙!これは団朝さんが演じるから尚更おもしろくなってるんやろうな……。機会があればぜひ体験して下さい。お腹抱えて笑えることウケアイです。
 それからパペット落語の鶴笑さん!私、好きですこういうの(笑)イラスト描いてみました。
 いい会でした。次回も行きたいな。

 今日はよく歩いたなぁ。ただひたすら歩くのって、頭の中がすっきりして気持ちいい。またこういう時間を作ろう。もうすぐ春だしね……。

■ロバのパン屋(2002.2.15)

 なんでそういう話になったのか。うちの父が言い出した「わしはロバのパン屋が好きだった」。なにそれ、ロバがパンを売りにくるの?謎。
 父「さやかが知らんのはわかるけれど、お前が知らんのは納得いかん!知ってるはずや!」
 母「うちは物売りが船で来る村やで、そんなんは来なかったって」
 父「そんなことはないやろ!あんなんどこでも来るで」
 母「どうせうちは田舎や!そりゃ、あんたんとこは本州やもん、まだ都会やわ」
 父「うちかて、そんなに都会ちゃう。でもなロバのパン屋はどこへでもいくはずや!
   おまえが覚えてないだけや」
 母「うちは旅芝居は来たけど、ロバのパン屋は来なかったって!」
 父「旅芝居が来るのに、なんでロバのパン屋が来ないねん!」
 ねぇお父さんお母さん、ケンカせずに、「ロバのパン屋」がいったいどういうものなのか、ちゃんと説明してよ。

■バレンタインデー(2002.2.14)

 「どうぞお願い、落語のある日は残業させないでね」と一個一個にせつない思いをこめて、今年も義理チョコを配りました。たかだか数百円のものなんだけれど、女子社員からのチョコレートが職場の空気を、一瞬でもなごやかにするのは間違いないようです。バレンタインデーって、色気抜きでなかなかいい慣習やなぁと思います。

 そういうわけで、めんどくさいと思いながらも、チョコレート特設売り場に行ってみたら、甘い匂いに華やかな色の洪水。思案にくれてる美女の横顔をながめるのも楽しいし、運がよければ試食コーナーにも行き当たる。おいおい、これは職場のオヤジどもにくれてやるのじゃぞ、とわかってはいても、ついルンルンと選んでしまいました。
 で、きらびやかな「よそ行き用チョコレート」達を見て思う。なんで女はバレンタインデーにチョコレートをもらわれへんのやろう……。
 だって、男と女とどちらがチョコが好きかといえば、絶対女の方が好きやん。高くても「レッスンルームの落語会一回分」くらいの値段だし、自分で買えばいいのだけれど、もらったお菓子というのは、自分で買った物より絶対絶対美味しいと思う。しかもそれが意図せずもらったものだったりすると、うれしさおいしさは確実に倍増なのです。
 それになによりの大問題、自分でチョコレートを買うと「これ食うと太るのよ、いいの?」……と、ささやく声が……。というわけで、自分のために買ってきた高級生チョコ(しっかりプレゼント包装)を前にして、ため息をつく私なのでありました。半分母親に食べさせて罪悪感を半減させようかな。でもそれももったいないな。
 色事師の皆様、今年のチョコレート獲得数はどないなもんでしたか?食べきれないようなら、手伝います。

■ネタの虫干し(2002.2.10)

 熱はすっかり下がったのだけれど、ノドの腫れがなかなかひかないのです。落語会で「ゴンゴン」咳するのはイヤです。大体笑いながらセキをするのは苦しいに決まってる。眠くなる恐れはあるけれど、咳止めと鼻水止めの頓服を呑んでいざ岡町へ。
 12:00開演の「ネタの虫干し」まずは昼の部、
 紅雀さん「鷺とり」
 「モ−ニング娘。のラブマシ〜ン♪…そりゃいくらなんでも古いんじゃないかい?仕方ない、それしか知らんのじゃ……にわかじゃにわかじゃ♪」なんかようわからへんねんけど、めっちゃうきうきした気分になって、楽しくて楽しくて。「えらやっちゃえらやっちゃ♪」紅雀さんのこういうのが好きやねん。
 生喬さん「借金取り撃退法」
 マクラでの人の良さそうな話し方、ネタに入った瞬間にウーファーが!迫力と、かわいらしさとおもしろさ、いいバランスでなんとも言えず、笑えました。ドスの効いた声でわーわー言ってたおかんが「あんた……いやん」と照れるのがほんまにかわいい(*^o^*)
 宗助さん「牛の丸薬」
 悪事が上手くいく話ってあんまり好きじゃないんだけど、騙す手口の鮮やかさに魅せられました。さすが!
 小米さん「親子茶屋」
 いい調子で聴いていたら突然「すんません、ノドがカラカラになってしもた。水飲まさせてください」と中座。青い湯呑みを持って再登場、「昨日の酒が出てきたかな?」こういうハプニングもおもろいです。演出かしらと思ってしまうくらい。
   中入
 九雀さん「高尾/九雀版」
 亡きおちょねさんに会いたいと、トンチンカンだけど一生懸命に頑張る喜六さんの姿が本当に心に染みました。たくさん笑ったんだけど……せつない!
 今日のハプニングその2。高尾が出てくる時のお囃子、「チリチリチリ♪」と鳴るべきところが、なぜか「ゴンゴロリン」九雀さんもお客もずっこけ。「あんまりやで!もっとええ音出してや!」と仕切り直し。なんか、おもしろかった。
 旭堂南湖さん「那須与一」
 人物描写が生き生きしていてひっぱりこまれました。時代劇好きにはたまらんおもしろさやわ。今度講談の会にも行ってみよう。
 米平さん「持参金」
 お鍋どん気の毒や!番頭ムカツク!……なによみんなでお鍋どんのこと厄介者扱いしてぇ!と、聴く度に暴れたくなるかなり不愉快なネタ。ところが、米平さん演ずる今日の「持参金」、初めてこの話を、おもしろいと思えました。「そんな不実な番頭じゃなくて、いい人のところに嫁に行けて、よかったじゃんお鍋どん!お幸せに〜」やっぱりこれも米平さんのあったかオーラのなせる技でしょうか。マクラのご自身のバレンタインデーの思い出話もおもしろかった〜。
 雀松さん「景清」
 お籠りしてて女の人と出会うくだりのとこ、好きです。それになにより、目が見えなくなって仕事ができなくなった胸のうちを吐露するところ!あぁ、暑いのと薬の効き目とでぼーっとしてしまったのが惜しいっ!もっといい体調で聴きたかったです。

 と、こうして昼の部は終わり。病み上がりで集中力の落ちた体に八席はちょっとつらい。ナ○○ラさんと軽くお茶して体力チャージ。

 さ、17:00だ、夜の部開演!
 たまさん「狸のさいころ」
 ぴんぞろの説明忘れて仕切り直しも御愛嬌。昨夜は九雀さんのお宅にお泊まりだったので練習してないと言いながら、久し振りのネタとも思えない楽しさでした。期待を裏切らずきっちりシャウトしてくださったのも、うれしい。
 雀喜さん「貧乏花見」
 落語の中の花見をしきる登場人物と雀喜さんご自身のキャラがかぶってるように見えて、それがみょうにおもしろかったぁ。
 こごろうさん「延陽伯」
 「これはジャズです、ジャズだからどうやってもいいんです!」と始まりましたが、これがおもろいおもろい!特に風呂屋で糠袋に体こすりつけはる動作なんか大爆笑。突き抜けたアホのおもしろいことったら。もう、うちのお父さん、親戚の法事に行ってる場合じゃないで、これマジで見せたかったわ。
 米左さん「東の旅・発端〜軽業」
 「脱ぐ暇ないから」羽織なしでのご登場。「こちらはクラシックです。一言一句間違えるわけには参りません。」鮮やかな口上にうっとり聞き惚れてしまいました。「軽業」って、めっちゃくちゃおもしろいんネタやったんやなぁ……ということを今日知った私。
  中入
 花丸さん「茗荷宿」
 「ジャズとクラシックのお後はノイズです」と一発大爆笑させてくれて開始。嘘かホントか師匠が子供の時にラジオで聴いただけのを、無理矢理頼んで稽古つけてもらった……らしい。宿屋夫婦のやりとりがめっちゃおもしろかったです。茗荷大好きなので、聴いていて食べたくて食べたくて……。
 九雀さん「さんま芝居」
 茗荷に続いて今度はさんま!(しかもこの後、雀さんのネタには寿司折りが出てきて、空腹はピーク)
 これ、好き。また近々聴きたい。ちなみに今日の九雀さん、今日は二席とも眼鏡なし。
 雀三郎さん「元祖・神だのみ」
 神様最高!これ名作です!いろんなパターンの「神だのみ」があって、これが一番最初に出来ていたから「元祖」らしいのですが、ぜひ他のも聴きたいです。たくさん笑った!
 出丸さん「ふたなり」
 この話ね、ホントは好きじゃない、だって後味悪い……。でも、出丸さんが演ると。あれれ?別にキライじゃないなぁ。イヤラシサがないというか……。おやっさんが死んじゃうところも、前に他の人で見た時には、目を開いてられへんかったけど、今日は笑いながら見てました。どこが違うとはうまく言えないけれど、こんな「ふたなり」やったら好きです。娘さん、強く生きて!

 みなさん、あまりおやりにならないネタばかりということですが、通して十六席、どれもおもしろかった!タマにしかしないなんてもったいない!!この会をいいきっかけに、時々聴かせてほしいなぁ。来年も楽しみ!
 で、私。風邪ひいていたので禁酒していたせいもあるけれど、会後のビールのおいしかったことったら!うきうき帰宅したら……夜半過ぎにまた熱が出てきた。う〜、やっぱり病み上がりに十六席は過激すぎたのでしょうか……。ほんま、早く治そう……。

■風邪だ!(2002.2.7)

 妙な咳が出てきたなぁと思っていたら、次の日体のダルさと共に目覚め、仕事中に急に寒気が……。
 くそー!なんでこんな忙しい時に風邪ひいてしまったんやろ。仕事休めないから三日も熱がさがらんわい。お昼前後と夜半過ぎに一番熱が上がるようで、決まって丑三つ時になると目が覚めます。

 で、もうろうとした頭で考えているのが「糊屋のおばん」のこと。

 実は前から気になっていました、落語界の長屋には標準装備されているらしい「糊屋のおばん」。
 糊なんて、文房具店にちょこっとあるだけやんか、いくら昔でもそんなに売れるもんなんか?専門店やってて、果たして食べていけるもんなの?現代人としてはそう思ってました。
 でも、ちょっと前に読んだ本に、江戸時代のいろんな商売の看板の写真やらイラストやらがずらずら〜っと載っているページがあって、……その中にあったんですよ「糊屋の看板」が!
 こういうのが残っているということは、昔は結構な需要があり、店舗もあちこちにたくさんあったんだろうなぁ、どうも糊屋は採算のとれる仕事のようで安心しました(なんでや)。

 で、そうなると……気になるんです!糊屋のおばんは長屋で店を開いていたの?でも「住まいのミュージアム」で見た裏長屋はすっごい狭かったし、土間にすぐへっついさんがあったし、店舗のスペースなんてなかったよなぁ「不動坊」の利吉さんち、糊屋のおばんと同じ長屋の店子だけど、家の中に井戸があったくらいだから、あそこはちょっと高級な部類の長屋やったのかしら?「軒付け」の時も大勢が上がれるくらいだし、やっぱりちょっと広めのお家なのかな。あ、そういえば座敷があるとか言ってたような気もする……。
 それに当時の糊、お米を練って作ったのかなぁ。何に入れて売ってたんだろ。

 あぁ納得できる答えがほしい!
 「不動坊」と「軒付け」をしっかり聞き直して、それから図書館に行こう!でも、こんな喉にくる風邪のウィルスを落語会に持ち込むわけにいかない。
 日曜に「ネタの虫干し」へ行くので、それまでには見事治してみせましょう!
 でも、土曜日も仕事なんだよな……。げほげほっ。

■老人力(2002.2.3)

 節分だぁ、豆まきだぁ!福は内、鬼は外♪
 最近風水にコりはじめた母いわく、娘が結婚できないのはうちの家になんか悪い気が溜まっているせいらしい。風水って、色や方角だけでなく、ホコリをためるなとか、窓ガラスをくもらせるなとか、そういうところにもこだわるらしい。で、我が母上は「節分だから厄を払うのだ!」と朝早くからバタバタやってはった。
 ケガした手をかばいながら必死になって掃除をしている姿が、哀れでもあり申し訳なくもあり、それよりなによりとってもおかしかった今年の我が家の節分。

 さて、そんな姿を尻目に、出かけた先でこんな話を聞いてきました。

 私の知人のお父様(80代後半)は、土佐の高知に一人でお住まいです。
 このご隠居さん、普段電話は基本料金に毛が生えたくらいしか使わないのに、ある日とんでもない額の請求書が届いてびっくり!
 ご隠居さんには身に覚えがありません。そういえば最近頻繁にお金がなくなるのを不審に思っていたので「ははーん、これは泥棒が忍び込みついでに家でエッチな電話かけとるんじゃな」と、犯人がどんな奴か見当をつけたのでした。

 数日たって、近所に住んでいる知り合いのお嬢さんが、いつもより早く帰ってきているのをご隠居さんは目にしました。問えば試験中で半ドンという答えです。
 ピンと来たご隠居さんは一計を案じました。

 まず、車を移動させ、戸締まりをして留守を装い、ご自分はコタツに潜り込んで、盗人が罠にかかるのを待ったのです。
 ご隠居さんの狙い通り、やってきました盗人!田舎の日本家屋は、雨戸をはずしてしまえば鍵がなくとも忍び込めるし、ご隠居さんが車でお出かけになる時は、ほとんどが釣り。出たらそうそうは帰ってこないことを盗人は知っていたんですな。

 タイミングを見計らって、ご隠居さんはコタツからワっとでてきて盗人を一喝!

 さて、このご隠居さん、元は教師ですが、戦時中は空挺部隊の士官、また相当な剣の達人!今でも道場で鍛練を重ねる大変な猛者なのであります。その迫力は推して知るべし。エロ電話盗人は一発でびびっておとなしくなったそうです。

 ご隠居さんの推理通り、犯人はご近所に住む顔見知りの男子高校生でした。思春期ゆえの犯行か……。ダイヤルQ2って、他所のお宅に何度も忍び込んででもかけたいようなエエもんなんやろうか。スケベですなぁ。

 今まで何度ほど入ったか正直に白状すれば許してやるというのに、盗人は初めてだとヌかしおる。そんなハズはないわいなぁ。
  やれ、盗人ぉ〜。正直に罪を白状すればよし、知らぬなんぞとぬかすが最後♪
  とっつかまえて……(ドンドン♪)
  ひっつかまえて(ドンドン♪)……やりゃ〜しょめぇか、返答は?
  あ、さぁ。さぁ、さぁさぁさぁさぁ……何と、なぁんとぉ〜

 しかし盗人は、あくまでシラを切る。こりゃぁビシっと責任の取り方を教えてやらんと、かえってこの子のタメにならんいうことで、ご隠居は警察を呼びました。
 ところが狭い町内のこと、やってきた警官はなんとご隠居のかつての教え子。

「おんし、この先生んお宅に盗人に入るち、まっことええ度胸じゃのぉ」
 警官は少年を説得し、すべての罪を白状させて、なんとか内々にコトを治めたとさ。

 ご隠居さんいわく、盗人が几帳面に靴を脱いで家に上がっていたのが妙におもしろかった……らしい。
 すごいジィさんがおったもんです。

 この話、めっちゃ気に入ったので書いておきます。
 しかし、知人いわく「こんな無茶するジィさんを、たった一人で置いておくのは不安でたまらん!」らしい。
 まぁ、そうでっしゃろなぁ……。

■ジャッキー7(2002.2.2)

 昼間は用があって、またまた福笑さんを聞き逃した私。
 このままで眠れるか!と、正雀市民ルームの「ジャッキー7」へ行ってきました。
 会場の広さに雰囲気、お気に入りの会です。うちからバスで行けるのもいいね。
 そして、布一枚で仕切られた楽屋の空気が伝わってくるのが、またまた好きなのです。二番太鼓の前には噺家さん同士の合図の掛け声、出の前には「お願いします」の声、そして落語の間には楽屋からも笑い声が聞こえてくる。時々背伸びして高座をうかがう噺家さんの額が見えたりするのもいい。
 阿か枝さん「延陽伯」、マクラでマクドの女店員さんを演るときにも襟元を押さえて色っぽい。伏し目がちで楚々とした延陽伯さんかわいい!言葉が本当に美しく上品。あの難解な言葉を、流麗かつ自然にやってくれはって、本当に日常でそういう風にしゃべっている人という説得力がある。あの阿か枝さんの延陽伯さんのかわいさ色っぽさ、女として負けたって感じ。
 雀喜さん「おごろもち盗人」このネタよく似合ってはる!マクラの泥棒の話もいい。帳合いの算盤の「ちっちっち」もめっちゃ上手。はったりかます泥棒のアホげなところもめっちゃ笑えた!今まで聴いた雀喜さんの高座で一番好きだったかも。
 初聴き勢朝さん「ハイウェイ歌合戦」。ええ声〜♪と歌の上手さが生きたほんまにおもろい話!旅行社が甲○園交通、登場人物の名前に○神○イガースの選手の名前が使われていて、これが登場人物像をリアルに想像させてくれて、大爆笑。会場盛り上がりまくり!
 雀喜さん「田楽喰い」登場人物の「しれっ」ととぼけた感じが好き。
 この会、お客さんもおもろい。普段落語会でよくお会いする人にはあまり出会わない。本当に地元の方が「たまには落語もいいんでない?」というタイで来ていらっしゃる感じ。ほのぼの感が気持ちいい。私の斜め前に座ってたおばちゃん、おかしいところがあるたびに、同意を求めるように、いちいち私の方を振り返って笑う。なんで振り返る?後ろに友達でもいらっしゃるのかしらんと思ったら、一人でお帰りやったから、あれは私と笑いを共有したくて振り返ってはったようです。ありがたくもあり、不思議でもあり。
 一番前に座ってた中学生くらいの女の子、トリで雀喜さんが出てきた瞬間ほがらかに「わー、この人また帰ってきた!」私は、その一言にめっちゃウけました。
 しみじみとおかしい会でした。あ〜なごめた。

■第101回TORII寄席(2002.2.1)

 やや情緒不安定です。
 原因はいろいろあります。福笑さんの会に行けなかったのは始まりにすぎなかったのです。日記に書けないことばかりで、肌荒れ肩凝りはどんどん悪化していくばかり。

 でも、そろそろ浮かび上がりたい。いつまでも落ち込むのはしんどい。
 そういう時には落語です。TORII HALL初体験してまいりました。
 今日は前売を買ってました。めっちゃ楽しみにしてたんです。ラインナップは紅雀さん「初天神」・吉弥さん「厄払い」・こごろうさん「へっつい盗人」・小米朝さん「親子茶屋」、そして南地大和屋の芸者さんによる「へらへら踊り」
 これだけ男前をたくさん見たら、きっと傷ついた心も癒されることだろうと思っていたのに……。
 どうして、上手くいかないんだろう?こういう時に限ってミスしたり、急ぎの仕事が入ったり、上司の説明がクドかったりするんです。あやうくヒステリー爆発しそうになりました。小さいストレス、溜まるとどーんと痛くって重くって苦しい。複合汚染だぁ。
 夕方5時半過ぎにややこしい仕事を持ち込んでおきながら、「早く帰りたいんですけど、これ何時にできますか?」なんて無神経な営業が言う。私だって早く済ませて帰りたいねん!あんた以上に!!
 初天神、聴きたかった。吉弥さんに厄も払ってもらいたかった。
 でも、思いっきり走ったけれど、会場に着いた時にはもうこごろうさんのマクラは終わっていました。
 こごろうさんのかわいくてアホな喜ぃやんにちょっと救われました。なんだ少し毛細血管が開いた心地。
 小米朝さんの親子茶屋もよかった。はんなりしていて、舞うような手付きが本当に美しい。
 芸者さんの踊りも、うきうきと見ました。あぁ、気持ちいい。日常から切り離された空間に行けるというのが、寄席の一番の魅力です。芸人さんに、ふわりと遠いところに連れて行かれて夢心地。そして「楽しかった?明日からまた頑張って」と、背中を押してもらって、また日常に帰ってくる。
 でも、今夜は不完全燃焼じゃわい。途中で止められて身の置き場がない。
 二席だけなんてヤダ。紅雀さんも吉弥さんも聴きたかった!
 そういうワケで、まだブルーです。なんかいいこと考えなきゃ。落ち込んでばかりはいられないわ。浮かび上がらなきゃ!

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