第四回 桂こごろう独演会(国立文楽劇場小ホール)2005.1.15.sat
 緞帳が上がると、ダークスーツにストライプシャツのこごろうさんが登場。お!サプライズゲストの「ねこまんまライブ」が始るのかと、ちょっと期待するも、そんなことはなく、こごろうさんによる本日のご挨拶。ゲスト二人を紹介し、ほめちぎる。この後でお二人めいめいから「あんだけ上手い上手いと言われたら、やりにくい」「私を潰そうとしているんでしょうか」などなどコメントされ、その上「後でやる花筏の工夫、一緒にファミレスで考えたんですけど、先に教えましょか」「七度狐のあらすじ、先にここで話ましょか」なんて言葉まで飛び出していた。絶妙のチームワークに感心するやら、お腹抱えて笑うやら。



  笑福亭たまさん「宿替え」
  桂こごろうさん「いらち俥」
  桂宗助さん「禍は下」
  桂こごろうさん「花筏」
   中入
  桂こごろうさん「七度狐」


 たまさんは、以前はたまに、あふれるパワーに圧倒されて、1mほど後ろの席へ下がりたくなってしまったことも……。熱くて超豪速球で魔球も投げて、侍ジャイアンツみたいな人だなーと、思ってました。
 それがそれが、久し振りに今日見ると、コントロールが飛躍的に上手くなってる! 不思議なことに、いつもみたいにアニメや紙芝居じゃなく、マンガみたいにパチパチっと頭に浮かんでくる。(画風は青年誌)吹き出しにセリフも書いてあって、効果線がビシバシ飛んでるのまで見える。言葉のリズムと展開がよいせいかな。
 もちろん魔球も健在で、夫ドッコイが荷物を持ち上げようとした時の、プラトーンみたいなポーズには大笑い。
 思わず描いちゃった。

 ……好きな噺家さんが、好きだなーと思っているところはそのままに、それでいて別の段階へとぐんぐん進化して下さってるのを見るのは、とてもうれしいものだなぁ。しみじみ。
たまさん
こごろうさん  こごろうさんが独演会の時には必ずお召しになる真っ赤な衣装にはワンダモーニングショットの小倉優子リンも真っ青。これが光沢のある生地なのでお顔に赤が照り映えて、「いらち俥」の寅の走りたるや、もう迫力倍々増!
 一席終った時には、汗のかきっぷりも表情も、噺家さんというより、1ゲーム走りまくったサッカー選手みたいでした。

 「花筏」提灯職人の腕を生かした(?)一言入り手形色紙が、落語の端々に登場するのが、すごくおもしろい。また、この色紙に書かれた言葉がストーリーに効果を上げているのですよ。「命くれない」が、ああいうことになるとは……。事前会談で創作された仕掛けとはこれだったのでしょうか。うまい小道具を思い付いたもんだなぁ……。
 そして、こごろう落語の4番バッター、はしゃぎて目がイっちゃってる喜六が大活躍の「七度狐」。
 何度か聴いているので、「抱っこしてぇ」、「へたくそ」、「サバオリ」など、こごろうさん独特のキーワードの直前には、ひいきのレスラーの必殺技が決まるのを待ってるプロレスファンみたいに拳を握りしめてしまう。私、揺れていたような気がします。両側と後ろの席の人に迷惑かけてなかったか心配です……。

 と、三席どれも観賞後スッキリできる体育会系落語、堪能しました! おもわず人に言いたくなる工夫もたっぷり。特に七度狐のお寺シーンのアレ!「花筏」のあとに聴いたからこそおもしろいアレ! あぁ言いたい、言ってしまいたいっ! でも次に初めて聴く人のために、我慢我慢……。
初めて描いたんですけど、宗助さんてすごく難しい……。と、そんなことは置いといて、こごろうさんもあと、前座のたまさんも、熱くて辛いですから、そりゃ、どれもおもしろいけれど、4席でしょ。そないに長時間食べるのは……。(こごろうさんは、よくあのテンション3席も維持してられるなぁ……)………間に宗助さんがいてくださってよかったなぁ。おかげで食べて1時間後の胃の感じが、全然違うんですもん。今日は会のバランスに大きな役割を果たしてはりましたが、この方が出ると、どこでも会全体が締まるんですよね。冒頭のこごろうさんの言葉に違わず、「上手い上手いほんまに上手い!」   宗助さん
 走・攻・守の三拍子揃ったいい 試合 独演会でした。あぁおもしろかった。